旦那さんが一人ソファーに座って紅茶を飲み、奥さんが独楽鼠のように動いているのに「新聞とって」「飯はまだ」と叫んでいるような光景があります。子どもが真似をしたら嫌ですよね。まるでママがお手伝いさんのようです。
そこで、『1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』の著者の立石美津子が子どもを独り立ちさせることについてお話ししたいと思います。
昔は“男子厨房に入らず”で「男は、炊事に手を出したり口を挟むべきではない。あれは、女の仕事だ。」と考えられていた時代がありました。こう言った考えの親元で育った人は夫となったとき奥さんにこれを求めてくることがあります。
けれども、あなたの子どもが20年経って成人した頃には働く女性はもっと増え男女問わず仕事もし、家庭のこともこなすことがますます当たり前の時代になっているでしょう。もう、この諺は時代錯誤かもしれませんね。
私の父は昭和一ケタ生まれの88歳ですが、母がまだ元気なのでご飯の支度も着替えの準備も全部やってもらっています。でも、母が一泊旅行で留守をしたときはお茶を一人で沸かすことも出来ず、パジャマや靴下の在りかもわからずとても困っていました。
どちらが先に逝ってしまうのかわかりません。「母がいなくなったら父はどうなるんだろう」と今から心配しています。一人の人間として自分の身の回りのことは自分で出来るようにしておいた方がよいですよね。
○夫が脱ぎ捨てた衣服を畳む
○夫が出した新聞、雑誌を片付ける
○夫が風呂に入っている間に脱衣所にパジャマを置く
○夫が言わなくても冷たいビールを出す
○家事は全て妻がやる
○ハンカチ、テッシュなど必要なものを準備する
○忘れ物をしたら会社に届ける
該当するものが多い奥さんは“良き妻”です。とっても気が利く奥さんですね。旦那様はお殿様になれてとってもいいかもしれません。でも、これって子どもにはどうなんでしょう?
夫にやってあげることを同じように子どもにやっているケースです。
○「ママ、水!」と言っただけで水を出す。
○パジャマを用意する。
○脱ぎ散らかした衣服を拾って歩く。
○「片付けなさい」と怒りながら「私がやった方が早いから」 とおもちゃの片付けをする。
○タオル、コップ、連絡帳など通園かばんの中身のセットをする。
○子どもが準備する前から「あれ持った?これ持った?」と忘れ物をしないように先回りして注意する。
○忘れ物を学校に届ける
“良妻悪母”とは筆者が作った四字熟語です。“良き妻は良き母とは限らない”という意味です。
夫が「メシ!」と叫んだらご飯を出し、「風呂!」と言ったらお風呂を沸かし、脱衣所にはパジャマを置く出来た奥さんがいる家庭で育った子どもが、ママの真似をして何でも自分でやる子になるかと言ったら必ずしもそうではありません。却って逆パターンが多いのです。
空気を読んだり、相手が何をしてほしいのか察しがいい人はそれが我が子であってもおなじことを無意識にしてしまいます。
例えば子どもが言う前に「喉が渇いているんじゃないの、お水を飲んできなさい」と言ったり、モジモジしていたら「トイレ行って来たら」と声をかけたり。何か子どもが喋ったとしても「ママ水!」「ママおしっこ!」と単語だけ言っただけで「はい水」「はい、トイレに行きたいのね」とやってしまっているケースです。
ずっとママが傍にいて子どもの様子を観察できるわけではありません。集団生活の保育園や学校では時間時間でトイレや水分補給の声掛けはしてはくれますが、それでも自ら相手に伝わる言い方でSOSを発しなければなりません。困るのは子どもですよ。
我が子に先回りしてあれこれ手を出すと、一人では何もできない子になってしまうので注意しましょうね。スボラ母さん、テキトー母さんの方が子どもがしっかりしますよ。
※この記事を書いた立石美津子さんの著書
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