教育[725]

「善悪を超えて」子どもと共に前を向く親の考え方

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執筆者:渡邉 達生
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江戸時代に「仙厓」という禅僧がいました。

「よしあしの 中を流れて 清水かな」

という書を残しています。「よしあしの」は「善いこと悪いこと」を、水辺に生えるよし(葦)とあし(葦)にかけて、世の中には善いことも悪いこともある、その中を流れるからこそ、水は清水なのだと説きます。よしもあしも水を清らかにします。悪を嫌うだけでは、清らかな心は生まれません。

悪という文字は面白いです。「亜」の原型は上図のような形で、家の土台をこの形に掘り下げて固め、窪地にしたそうです。悪は亜+心で、押し下げられてくぼんだ気持ちを表します。だれもが欲をもちます。その欲が押さえつけられると悪になるのです。それを淀ませず、洗い流すことで、心は清らかな心へ向かいます。

「夜空を見ると、冬はオリオン座、夏は白鳥座があり、清々しい気持ちになります。」「土に花の種を植えると、種は暗い土の中から必死になって芽を出します。」「街路樹も季節に応じて、たくましく生きています。」「川の水は地形にそって、とうとうと流れて行きます。」それらは、大らかに、強く生きることの価値を暗示してくれます。

それらを話題にすると、子どもの良い感情が研ぎ澄まされ、嫌なことは洗い流せます。そして、子ども時代の、そのような親子のかかわりは思い出となり、大人になったときに、子どものときのことを思い出させる、清らかな流れとなることでしょう。

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