子どものお稽古を続けていくと、多くのお稽古でクラス分けをされていくと思います。
水泳や体操は能力によってクラスが別れるのはもちろん、習字やピアノも級がつけられたりします。 子どもを格付けされているような気分になるかもしれませんが、このクラス分けはとても重要です。
出来る子は、よりレベルの高いクラスで能力を磨くことができ、さらに上達していきます。 逆に出来ない子が能力以上のクラスを受講してしまうと、レッスンについていくことができずに何も身につかないからです。 全ての子ども達に質の良いレッスンを受けてもらえるように、という配慮にすぎません。
きちんと上達してほしいからこその試験、クラス分けなのです。 さらに定期的に試験があることで、お稽古を続ける目標にもなります。 合格したときは達成感を味わうことができますし、自分が認められたような気分になれます。
不合格だとしても、また次回頑張ろうと思えればいいことですし、何より失敗した経験も大切な成長の要素となるでしょう。
しかし試験やクラス分けで親として心配してしまうのが、お友達との関係性です。 幼い時のお稽古は仲の良いお友達と一緒に始める、という子どもも少なくありません。
最初は同じクラスからのスタートですが、どちらかが上のクラスに上がってしまうと、双方にとってわだかまりになってしまうかもしれません。 特に点数がつきやすいお稽古だったら納得もできるのですが、点数のつけられないダンスの世界ではクラス分けのトラブルが多くなってしまうようです。
水泳なら25メートル泳げたのは一目瞭然ですが、ダンスはそうはいきません。 お母さんが見ていて変わりない出来でも、自分の子どもだけ不合格という結果になってしまうことがあるかもしれません。 ダンスのクラス分けの試験で、専門の先生達はどのような点をチェックしているのでしょうか?
ダンスでも試験となれば、動きの課題が出されるはずです。 わかりやすい技物は、回る技か飛ぶ技ですね。 回るものでも、○回回ってください、という明確な課題が出るとお母さんでもわかりやすいですね。
しかし、指定回数回れればOKというわけではないので注意が必要です 周りものの技で先生達がチェックしているのは回った回数だけではありませんよ。 回るための基礎ができているか、身体はどこまで使えているかを見ています。
「プレパレーション」と言われる回る前の準備のポジションは特に大切です。 膝は正しく使えているか、パッセと呼ばれるポジションは正確か、などです。 ルルべと言われる、つま先立の高さが低くなっていないか、も見ています。 速さ・バランス・安定感などを総合してチェックしています。
何かできていても、何かできていないと正しく回ることはできません。 勢いで指定回数回ることができたとしても、ごまかしでのまぐれでは合格できないのです。 全ての要素を満たしていると、上のクラスでさらに上達することができるな、と判断されて進級することができます。 細かい所で修正の必要があれば、不合格となるでしょう。
飛ぶ技も同様に、身体の使い方を見ています。 ジャンプの高さはもちろん、飛ぶ前のプレパレーション、上半身・下半身の使い方は連動しているか、また着地の仕方も大切なポイントです。
ジャンプだけできても無意味なので、他の振付とのつなぎも見ています。 ダンスの振付の中で、きちんとその能力を活かせているか、です。 ジャンプだけ、回るだけ、ではなくきちんとその技をダンスとして活かせているか、ということです。
合格・不合格のジャッジには必ず理由があるはずなので、理由が知りたければ先生に質問してみるといいでしょう。 ダンスの外部オーディションになると、なぜ不合格なのか?何が悪かったのか?という質問をすることができないのが普通です。
スタジオのクラス分け試験であれば、その理由を聞くことができるので、どんどん質問するべきです。 そこで弱点や身体の使い方のクセなどを聞いて理解し、今後の課題にすると上達が早いでしょう。
ダンスのお教室に関しては、クラスを進級することができても基礎はとても大切です。 しかも子どもは身体も成長途中で、身長が伸びたり体重が増えることにより、大人のダンサーにはないスランプに陥ることもあります。 合格したから基礎は完璧!ということはありません。
毎日毎日の積み重ねが大切で、その遠回りが結局上達につながっていくのです。 クラス分けで進級したからといって安心せずに、身体作りをしつつさらに上達できるようにしてあげてください。