3歳から5歳までの幼児期で最も大切にしたい遊びは、まず全身を使った運動遊びです。思いっきり走ったり手足を動かしたりしながら遊ぶことで、子どもはなめらかに動く身体を獲得し、体力が運動能力の基礎をつくります。
そして、3歳を過ぎたら、友だちとの遊びも大切です。様々に体を動かし、大声を出して友だちと一緒に遊ぶことで、創造力や自己抑制を司る脳の前頭葉機能が発達すると言われています。
また、遊びの中でけんかと仲直りを繰り返しながら、社会性や人間関係のルールも学んでいきます。
これら2つの基本的な遊びに加えて重要なのが、手を使った遊び、ごっこ(想像)遊び、イメージでさまざまなものをつくる遊びです。
乳児期から子どもは、身のまわりにあるものをさわったり、落としたりする手を使った遊びを自然に始めます。これは、徐々に手先を使うことにつながり、集中力や行動力、持続力などを育みます。
そして、一人遊びから始まる「見たて遊び」や「つもり遊び」は3歳頃から友だちとの「ごっこ遊び」へと発展していきます。このごっこ遊びは、子どもの想像力を育み、創造性や他人を思いやる共感性、豊かな言葉を伴うコミュニケーション能力などの基礎となります。
積み木で城をつくったりモザイクで模様をつくったりなど、イメージでさまざまなものをつくる遊びは、思考力や計画力、抽象概念へとつながっていきます。これらの能力は、小学生からの学習の土台となるものです。ですから、幼児期にこれらの遊びを充分にすることが、子どもの将来的な能力を育てるのです。
ではどうしたら子どもはこれらの理想的な遊びをするようになるのでしょうか?
今、自分で遊べない子が増えているのですが、それは、親の過干渉が原因です。また、与えているおもちゃに問題があることも多いようです。子どもがほしがるから、あるいはおとなしくしてほしいという大人の都合で、テレビやDVD、テレビのキャラクターなどイメージが完成されたおもちゃを与えていませんか?
これらは、想像の中で自由に遊ぶ時間を奪うだけでなく、決められた形や概念を子どもに植え付けてしまうため、想像して遊ぶ能力を妨げてしまいます。
自分で考え、主体的に行動できる子どもに育ってほしいと願うのであれば、ぜひ、おもちゃにも気を配ってください。
そして、子どもが遊びに集中できる静かに遊べる環境を整え、見守りましょう。常に一緒に遊んであげなければいけないと思い、また、それをストレスに感じているママがとても多いのですが、乳幼児期は、ひとりで遊び込むことが想像力や思考力を育てます。
自分から遊べる子どもを育てたかったら、べったりと子どもにかかわるのは逆効果です。遊びに口を挟まず、子どもが求めたときに対応する、そんな距離感でいることが大切です。
・自然体験、生活体験を十分に
土や草木や水などの自然物は子どもにとって遊びの素材です。また、睡眠、食事、運動の基本的生活がしっかりしている子ほど、よく遊びます。
・発達に見合った良質のおもちゃを与える
子どもが自分の発想をプラスすることで遊びが生まれるおもちゃを用意。電池で動く車など完成されたものでは、遊びが豊かになりません。
・口を出さずに遊びを見守る
遊びは見守り、求めてきたときに加わること。子どもの遊びにあれこれ口出ししない。静かな母親は知性を育てるといわれています。