私見でありますが、塾講師をしている私の中では「中学受験は高校受験よりも難しい」と考えます。
これは長く変わらない考えです。理由はいくつかありますが、大きなものとして「高校には受験しないと行けないが中学には受験しなくても行ける」があります。
つまり中学受験をする生徒は受験しない生徒が習い事をしていたり、一日中遊んでいたりする間も塾に通い、宿題をしなくてはなりません。他の生徒が長期休み中に帰省したり旅行したりしている間も塾の講習に行き続け勉強しなくてはなりません。
その覚悟ができていない生徒や保護者が最近非常に多いように感じます。中学受験クラスの生徒が宿題を忘れてきたり小テストの点数が悪い、などといったことは本来ありえません。
友達と遊びに行ったりゲームをしたりしている回数が多い、ということはあってはいけないのです。もちろん小学生なので遊びたいのは当たり前です。ただ、それなら中学受験をあきらめるべきです。
「遊びたい、でも私立中学へは行きたい、できれば偏差値の高い学校」こんなことは不可能でなのです。
これは保護者にも当てはまります。小6の生徒が夏期講習を休むというので理由を聞いてみたら保護者が海外旅行に家族全員を連れて行くというのです。こういった場合、生徒ではなく、まず保護者にとことん話をする必要が出てきます。
保護者がこのような考えをしている限り中学受験は厳しいのです。 また、大学受験や高校受験は生徒本人が選んだり決定したりすることが多いのに対して中学受験の場合は保護者の意見が強くでる傾向があります。ここでも問題が起こる場合が多いのです。「本人と保護者の志望校が違う」こともあります。
よほど専門的に調べていない限り、保護者よりも生徒自身のほうが自分の力や学校の偏差値などをわかっている場合が多いです。塾で話をされたり友達通しで現実的な情報交換を行うからです。
本人がある程度実力に見合った学校を希望しているのに反して保護者がまったくの実力不相応校を押してくることがあります。
「塾に高い授業料を払っているのだから通しなさい」というのは生徒にとっても厳しいプレッシャーにしかなりません。
しかし一番大きな問題は「本人が中学受験を望んでいないのに保護者が受験を強要している」場合です。本人は友達と一緒に地元の公立中学への進学を希望している。しかし、保護者が生徒のその先の進路のことや地元公立中学の評判などを聞いて中学受験を決定するのです。
ここで生徒本人と話し合い、納得した上で決断し、本人が意欲的に勉強に向かえば問題ありませんが、本人に相談しなかったり、命令に近い形で進学塾に通わせ、中学受験の塾なので週に4~6回授業があり、宿題は大量、日曜は模試。受験の覚悟がない生徒にこれだけのことをさせれば、おかしくなって当然です。
中学受験を考える際には「塾選びよりも保護者と生徒本人が受験に取り組む覚悟を決め、意見を同じくして戦っていく」ことがなにより優先すべきことなのです。
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