会社を退職した際に、雇用保険から求職者給付(以前は失業手当といいました。)を受けるためには、一定の要件があります。以下では、その要件について、述べていきます。
まず、会社に在籍中に雇用保険に加入されていた方が会社を離職した場合、その離職日から過去2年間まで遡った期間を算定対象期間と言います。その算定対象期間は、離職した方が雇用保険の求職者給付の受給要件を満たすかどうか判断する期間となります。
さて、この算定対象期間は、離職日から遡って1ヶ月ごとに区分します。例えば、離職日が平成27年3月31日ですと、第1の期間が平成27年3月1日~平成27年3月31日まで、第2の期間が平成27年2月1日~平成27年2月28日まで、第3の期間が平成27年1月1日~平成27年3月31日まで、となります。
算定対象期間は離職日から遡って2年間ですから、平成25年4月1日~平成25年4月30日までの24の期間があります。この1ヶ月ごとに区切った算定対象期間のそれぞれの期間のうち、賃金の支払の基礎となった日が11日以上ある期間を1ヶ月の被保険者期間とします。
そして、全部で24ある1ヶ月ごと区切った算定対象期間のうち、賃金の支払の基礎となった日が11日以上あって被保険者期間と認められた期間が12ヶ月以上あれば、求職者給付の受給要件を満たすと判断されます。
なお、ここで賃金の支払の基礎となった日とは、月給制の社員であれば、雇用期間がそのまま賃金の支払の基礎となった日に該当しますので、算定対象期間に会社に在籍し月給を受けていれば、原則として算定対象期間のすべてが賃金支払いの基礎となった日に該当します。
一方、時給制や日給制の方であれば、1ヵ月ごとに区切った算定対象期間のうち、出勤して賃金の支払を受けた日や有給休暇を取得した日が11日以上なければ、その期間は1ヶ月の被保険者期間とは認められません。
月給制の社員の場合には、勤務期間が1年以上あればたいていの場合には、求職者給付の受給権は発生しますが、時給制や日給制の社員の方であれば、1ヶ月の勤務日数が11日未満の月があったりすると、会社に在籍した期間が1年を超える場合でも、求職者給付の受給要件が発生しない場合もあります。
なお、離職日から過去2年間の算定対象期間に被保険者期間が12か月以上という受給資格要件は、一般の離職者の受給要件であります。雇用保険の求職者給付には、この一般の受給資格の他に特定受給資格というものがあります。
この特定受給資格とは、倒産による離職、賃金の未払いや大幅な減給、法律違反の長時間労働などによる労働者が退職を判断した場合の離職、など再就職を準備する時間的余裕なく離職を余儀なくされた方に認められる資格です。
離職の理由が、特定受給資格に該当する理由である場合には、上記の受給資格の要件が変わります。それは、離職日から過去1年間の算定対象期間に、被保険者期間が6ヵ月以上あれば求職者給付を受けることができる、というようにより緩和されます。
なお、この特定受給資格者に該当した場合には、受給要件が緩和されるだけではありません。求職者給付を受けることができる日数も、特定受給資格者の方が、一般の受給資格者よりもより長くなります。