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【健康保険】傷病手当金を受け取るための要件と計算例と手続き

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執筆者:門衛 保険運営チーム

怪我や病気で会社を休んだ場合にはありがたい傷病手当金

サラリーマンの方が、例えば休暇中の旅行先で事故に巻き込まれて大けがをした場合や、会社での業務とは関係のない病気により、会社を一定期間休む必要が生じる場合があります。このような場合には、健康保険から、休職期間中の所得保障として傷病手当金を受けることができます。

自営業者の場合には、怪我や病気で一定期間仕事を休んでも、その休んだ期間の所得が保障されるということはありません。休業中の所得を保障する民間の保険に入っていれば別ですが、原則として、休業期間の所得が保障されることはありません。この点、サラリーマンは恵まれていると言えるでしょう。

傷病手当金を受けるための要件

ただし、健康保険に加入していれば、誰でもこの傷病手当金を受けることができるかというとそうではありません。この傷病手当金を受けるためには、一定の要件を満たしている必要があります。

その要件とは、①療養のために労務に服することができないこと②継続した3日間の待機を完成していること、です。まず、①については、簡単に言えば、業務外の病気や怪我の治療のために会社の仕事ができず、会社を休まざるを得ない状態にあることをいいます。

また、②については、3日間の待機が完成していることです。待機とは、簡単に言えば、業務外の病気や怪我の治療のために、会社を連続して3日以上休んでいるということです。

なお、この待機の3日間は、連続していなくてはなりません。ですから、第1、3、4日目を病気で休んで、第2日目に出社した場合には、会社を休んだ期間は3日ですが、連続した3日間という要件を満たしていませんので、待機は完成せず、傷病手当金は支給されません。

ただし、一般的には、大きな病気や怪我の治療のために会社を休む場合には、通常は1週間とか10日とか1ヶ月とかまとまった休みを取ることが一般的ですから、そのような休みを取る場合には、待機の完成はあまり問題とならないのが普通です。

なお、病気や怪我の治療のために休業する最初の数日間を年次有給休暇の取得により対応する場合がよくあります。このような場合でも、この年次有給休暇を消化した日は待機期間としてカウントされます。

傷病手当金の計算例

さて、療養のために会社を休んだ場合で、連続した3日間の待機が完成していれば、待機完成後、会社を休んだ1日につき、会社を休んだ方のその時の標準報酬額の1/30の金額(四捨五入で10円単位とした金額)である標準報酬日額の2/3の金額が支払われます。

例えば、休暇中の怪我の治療のために10日間入院した方(標準報酬月額280,000円)を想定します。この方の勤めている会社が週休2日制で、この方が日曜日に怪我をしたとします。そうすれば、会社を休んだ期間は、月、火、水、木、金、土、日、翌週の月、火、水の10日間となります。翌週の木曜日には回復して出勤したとします。

すると、最初の月、火、水で待機3日が完成します。傷病手当金の対象となるのは、待機完成後、会社への出勤義務がある日で、かつ、入院のために会社を休んだ期間です。上の例では、木・金・翌週の月・火・水の5日間です。この方の標準報酬日額は9,330円です。

9,330円の2/3は6,220円です。ですから、この方が傷病手当金として健康保険から受けることができる金額は、31,110円です。病気で会社を休むとその分給与が減額されるのが普通ですから、この給付は有難いです。

傷病手当金を受ける際の注意点、手続等

なお、傷病手当金は、健康保険の任意継続被保険者は対象とはなりません。また、この手当金を受けることができる期間は、支給を始めた日から起算して1年6か月までとなります。この手当金の支給を申請する場合は、健康保険傷病手当金支給申請書に賃金台帳や出勤簿のコピーなどを添えて、協会健保の窓口などに提出します。

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