リノベーションに似ている言葉としてリフォームと言うものがあります。
両方とも「再生」 「改善」といったような意味なのですが、リフォームと言うとどちらかと言うと表層的な仕上げ材の変更、対してリノベーションという言葉には機能から含めた改善という意味で一般的には使われている様です。
では具体的に「機能」の改善とはどのようなことを示すでしょうか。
2つの方法が考えられます。
1つは「用途を変えずに使い方を変える」です。
住宅の間取りの変更やそれに伴う増築、減築などを指します。「家」という機能は残したままで、家族の変化に伴って、諸室の必要性を見直すと新しい空間が開けてきます。
例えば、子供が成長して必要のなくなった子供部屋をゲストルームとして使えば、一階の客間は必要なくなるかもしれません。その分リビングを広げたり、必要なければ取り壊して減築してしまえば、家も小さくなり余分な空調費用を抑えることができます。
商業施設でも同様の改善ができるでしょう。街並みに馴染んだ外観を残したまま別の種類の店舗として作り直すと、古い部分と新しい部分のコンストラストが映えてとても良い雰囲気になります。
もう一つの方法は「用途も含めて使い方を変える」です。
古い工場や町屋を改修して店舗にしたり、年月の立ったビルをホテルに改装したりなど、発想のいかんによって様々な可能性があります。
時代ごとに求められるものをその都度、壊しては作り直すということではなく、できる限り、元の建物は残したまま再生させるという考え方。エコロジカルにもエコノミカルにも今、求められている建築の仕方です。
そのような姿勢が続けば街並みにも影響していきます。古い建物が状態良く保存されていくようになり、さらには建物自身が財産となっていきます。
建築物を保存するということが当たり前になり、建物だけでなく「時間の経過」というものまで所有することになり、そして次の世代に引き継ぐ「責任」が生まれます。その責任感は社会全体の豊かさにつながるのではないかと思います。