楽しい設計計画の期間、ちょっと厳しい見積金額の見直し期間を乗り越えて、いよいよ建築工事がスタートする矢先、「地鎮祭どうしますか?」なんて聞かれて、「この期に及んで、まだ決める事があるの?」なんて思われる方も多いはずです。
建築は、「決める事」の積み重ねです。プラン、キッチン、諸々細かいこと、金額が大きい買い物だからこそ悩んだり、迷ったり。やっと決める重圧から逃れ、これから形になるマイホームを楽しみに過ごすだけかと思っていたら。
では、地鎮祭って何なのか?やらなくてはいけない事なのか?等についてお話ししたいと思います.
まず、地鎮祭とは、「地の神を祝って敷地を清め、工事中の安全と建築物が何事もなく永くその場所に建っていられることを願うお祭り事」です。
新築工事の際に、更地の段階で地鎮祭を行うことはポピュラーですよね。
その土地の氏神様を祭っている神社にお願いするケースと、エリアに関係なく広域に渡って地鎮祭をやってくれる神主さんも存在しています。
私も一度しか経験がありませんが、お寺のお坊さんに地鎮祭をやって頂いた事もありました。お付き合いが深いところがあれば、神社でもお寺でもどちらでも良いようです。
中古住宅のリフォーム工事の場合は、地鎮祭を行うべきか迷われる方もいらっしゃると思いますが、その土地のオーナーが変わる場合は、「その土地に初めて鍬(くわ)をいれる行為」に当たるので、その土地の氏神様にご挨拶と安全祈願をするという意味でも、地鎮祭を行った方が良いと言われています。
では、地鎮祭に対する其々の思いはというと・・・
・ 【施工業者】地鎮祭は、できればやりたいと思っている派が多いです。建築業界は、割りと験(げん)をかつぐので、六曜(大安など)を気にされる方もいます。
・ 【設計者】あくまでも施主さんの意向にお任せしていますが、大安吉日で家族の集まれる週末にと日程を限定してしまうと、工事のスケジュールに影響が及ぶかな?と心配する程度です。
・ 【施主】是非、地鎮祭を行いたい!と言われる方もいらっしゃいますが、安全祈願も良いけれど、散々、VE(バリューエンジニアリング)で見積金額を下げる努力をしてきたのに、ここでまた出費が・・・と思われる方もいるのでは?(口には出しませんが)。個人によっては、儀式への抵抗感もあったりと、皆さん其々です。
最終的には、施主さんの意向が一番重要ですが、施工業者と相談してみるのも有効ですね。そんなコミュニケーションも、今後の工事現場のチームワークに良い作用をもたらすかもしれませんよ。
そして、地鎮祭の手配は、主に施主さんが行うケースが多いです。神社にお納めする初穂料(はつほりょう)や地鎮祭に使うお供え物の準備、場合によっては、神主さんの送迎まで行うこともあり、施主さんにとっては少々たいへんな作業になるかもしれません。
この儀式は笹竹を4本使うのですが、最近では調達が難しいという話も聞きます。
地鎮祭を行う神社が施工業者の紹介であれば、上記の手配は施工業者が行うこともあるようです。
一生に何度とない経験になると思いますので、何事も楽しんでトライして頂けたら幸いです。