10歳頃までの子どもの脳は発展途上にあります。
人間の脳は、生後しばらく脳神経細胞が爆発的に増える時期があり、やがて不要な神経細胞を減らしながら神経回路を発達させていく時期を経て、大人の脳へと近づいていきます。この発達のターニングポイントが3歳、7歳、10歳です。
3歳までは脳神経細胞が増え続け、その後7歳までに不要な脳細胞を減らしながら神経回路のベースを作り、その脳神経回路を進化させていくのが10歳までの時期なのです。
好奇心、向上心、自尊心、友情や愛情といった「心」の発育と脳の発育は深く関係しています。「良い脳を育て、良い心を育てる」うえでは、脳の発育段階に応じて叱り方や導き方を変えていくことが大切です。
0~3歳
脳は未熟な状態。「厳しさよりも優しさ」を伝えよう
この間、脳の情報伝達回路の機能形成より先に神経細胞の数がどんどん増え続けます。 3歳までの脳は言わば未熟な状態。早期教育や厳しく叱るなどして脳に負担をかけるようなことは避け、「心が伝わる脳」を育んでいくことがこの時期の重要なテーマです。
お母さんが愛情を持って接し、叱るというよりは常に心を込めて教え、伝えることが大切です。
3~7歳
好きなことを尊重して「脳の土台」をつくろう
不要な細胞を間引き、脳の神経回路のベースを作って、一生ものの「脳が働く仕組み」と作り上げていく重要な時期です。ここでは「興味をもつ」が鍵となります。「興味を持つ」と「好き」になり、好きになったことに対して脳はしっかり理解します。
したがってこの時期は育脳の観点からも、子どもの興味を尊重するような接し方、叱り方をすることが大切です。
7~10歳
「自分でやりたい気持ち」を才能へとつなげよう
間引きが完了し、脳神経細胞が樹状突起を発達させて神経回路をどんどん発達させていきます。
「自分でやりたい気持ち」が強まり、才能を発揮する仕組みが働いてくる時期でもあるため、頭ごなしに指示や命令をせず、「この子のここを伸ばしたいから、こういう叱り方をしよう」など、伸ばしたい才能を考えたり叱り方をすることが大事です。
0~3歳
「ダメ!」を減らし、「すごいね」を増やそう
命に関わる危険な行為はしっかり叱る必要がありますが、それ以外に「ダメ!」は必要ありません。失敗したときも叱るのではなく、がんばったこと、できるようになったことを「すごいね」とほめてやりましょう。
また神経細胞がどんどん増える時期ですので、この年齢の子は教えたことをすぐに忘れてしまいます。「1回言ったのにどうしてわからないの?」は禁句です。「こうだからいけない」と根気良く、丁寧に、心を込めて何回も繰り返し教えていくことが大切です。
3~7歳
ガミガミを「あなたはどう思う?」に変換しよう
良い神経回路を形成していくためにも、叱る際はガミガミと感情的に叱らず、子どもの言葉をまずは「そうだよね」と受け入れてから、「お母さんも小さい頃にこんな失敗があって、こうしたらできるようになったのよ」などと事例を示したうえで「あなたはどう思う?」と聞くようにします。
大切なのは「心をつなげる会話」です。間を置かずに「じゃあ、これはどうなの?」「お母さんはこう思うけれど、どう?」とポンポン質問し、心をつなげる会話で導いていくようにしましょう。
7~10歳
「指示」よりも「提示」しよう
この時期は自己報酬神経群の働きが活発になり、「自分で決めたことを自分で達成したい」気持ちが強くなります。
自主性・主体性を持ったときに喜びを感じるようになるため、それを削ぐような頭ごなしの命令・指示・叱り方はNGです。
自らがんばっていることは「すごいね」とほめ、失敗やできないことなどに対しては、「こういうやり方とこういうやり方があるけれど、どっちを選ぶ?」と提示し、子どもが自分から「こうする」と決められるように導いてあげましょう。
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