子どもがやってはいけないことをしたとき、周りの人の目が気になって家に帰ってから「今日、スーパーにいったとき、どうのこうの・・・」と過去の出来事を蒸し返してネチネチ注意してしまうことってありませんか?
でも、果たして時間が経過して子どもに注意して伝わるのでしょうか。
子どもがスーパーで売り物のほうれん草をちぎっていました。「今、子どもの手をパーンとはたいて叱ると周りから怖いママと思われてしまう・・・虐待していると勘違いされたらどうしよう・・・」。そんな風に考えてしまい、帰宅後、ネチネチネチ・・・。
けれども、残念ながらこれでは子どもにはちっとも伝わらないんです。 そこで、今日は『1人でできる子になる テキトー母さん流 子育てのコツ』の著者の立石美津子がお話します。
よくニュースで“現行犯逮捕”という言葉を聞きますよね。犯罪を犯しているとき逮捕するといったイメージです。時間の経過や場所が遠くなるにつれて、犯罪の現行性は失われます。
子どもの躾をこれと並べるのは憚られますが、ある意味、子どもが悪い行動をしたとき時間が経過してから叱るのは効果があまりありません。
●信号無視をする子ども
例えば、子どもが青信号がチカチカしているのに信号を無視して横断歩道を渡ったとき「ここで大声を上げて叱ったら通行人から“怖い母”だと思われてしまう」と考え、家に帰ってから「あの時、信号が赤に変わりそうになったのに渡ったよね。車にひかれたら危ないでしょ」と叱っても子どもにはピンときません。
まさに渡ろうとしたとき、周りからどう思われても「危ないから止まりなさい!」とビシッと叱らないと子どもは理解できませんよね。実際、信号無視の例ですとやった瞬間に叱っているママが多いと思います。でも、それ以外の場面ではどうでしょう?
●スーパーで地べた泣きする子ども
スーパーで「お菓子買って~買って~」と大騒ぎする子ども。「声がうるさくて周りに迷惑がかかる」と考え、おとなしくさせようと思い、買い与えたとしましょう。そして、うちに帰ってから「今日、スーパーでお菓子欲しいって泣いたよね。それってどう思う?夕飯の買い物に行くたびにお菓子は買わないからね。大騒ぎして泣いたらダメでしょ」と叱っても親の注意は左耳から右耳へ抜けていきます。
その場で「泣いてもダメよ。今日は買わないって約束したでしょ。」と毅然とした態度で断った方が効果的ですよ。周りからどんな風見られてもその場、その時に叱りましょう。すると次回からは欲しがらなくなります。
信号無視した、お菓子を欲しがったときその場で叱ったら、後はきれいさっぱり忘れましょう。その場で注意したら再度、家に帰ってから蒸し返す必要はありませんよ。
それから、「後でパパから叱ってもらおう」と思い、その場にいなかった父親やお祖父ちゃん、お祖母ちゃん、更に園との連絡帳にも書いて叱ってもらうのもお薦めしません。
なぜなら、子どもは現場を見ていない複数の人から言われると「だってあなたはその場にいなかったでしょ!」と反発するからです。自分に置き換えてみましょう。その場にいなかった人から注意されたら不愉快じゃありませんか?
もし、過去のことを出したいのならば次に外出する直前に・・・
「この間、緑の信号がチカチカしているのに渡ったよね。今日は気をつけようね」 「昨日、スーパーでお菓子を欲しがったね。今日も買わないから泣いてはダメだよ」 と過去の過ちを思い起こさせるようにしましょう。これからまさに同じ場面が起こる前に釘を刺されるのは効果的です。いわば予防策みたいなものです。
そして忘れてはならないのは出来たとき「信号待っていられたね」「お菓子がまんできたね」と褒めることです。注意されて努力しているのに認めてもらえなかったら、また態度は元に戻ってしまいますよ。
我が子が他の小さい子どもに自分が使っていた玩具を貸してあげたとしましょう。親として心の中では「うちの子も随分と成長したなあ」と微笑ましく思っていたとしても、他のママがいる手前「お利口だね。偉いね」となかなか口に出しては言えないものです。
「親バカと思われたくない」という気持ちがブレーキをかけてしまうのでしょう。よその子が同じことをしたら「まあ、○○君、優しいのね」と満面の笑みでできるのに我が子には出来ないものですよね。
そして家に帰ってから「今日、小さい子に玩具貸してあげて偉かったね」と褒めたりします。
何も言わないよりはましですが、その場で褒められた方が子どもは嬉しいです。周りからどう思われるかの他人軸ではなく、子ども軸で良い行動をした瞬間に「自分が使いたかったのにお友達に貸してあげられて偉いね」と親バカと思われても構わないので、その場で褒めてやりましょう。
時間が経過してしまい、もう気持ちが他に行っている状態で「あの時・・・どうのこうの」といっても子どもはなかなか理解できないものです。叱るときも褒めるときもその場所、その時がポイントですよ。
※この記事を書いた立石美津子さんの著書
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