子どもの話を最後まで聞くことができない。このときのママの心の中は、心理学でいう「合理化」が起こっています。「もう夕飯だから」「そういうものなの!」なども、「本当は聞くのが面倒」という後ろめたい気持ちを、言い訳で正当化しているのです。
合理化グセのあるママは、子どもの話を遮って、自分の価値観に誘導し、その場をしのいでしまいがちです。
「聞いてもらえない」「話しても伝わらない」と感じた子どもは、「伝える喜び」をもてないまま成長します。すると、人の話を聞いているフリをしたり、本当のことが言えなくなったりします。対人関係においても、深い交流がもてなくなります。
思春期以降、不登校や摂食障害、リストカット、ネットやゲーム依存などに陥ってしまうこともあります。脅かすわけではありませんが、カウンセリングにまで至るケースでも、「親に聞いてもらえなかった」ことが、そもそもの始まりである場合が多いといいます。
そこでママたちに提案ですが、親子の会話を30分程度、録音してみましょう。スマホなどで録音してみると、自分が子どもにどんな対応をしているかがわかります。あいづちや理解、子ども受け入れる言葉はいくつあるか、反対に、「禁止」「指示」「命令」はどのくらいあるのかを確認します。
ただし、これは決して、自分にダメだしをするための録音ではありません。「私ってうるさいママだったんだな」と気付くだけで十分です。ママたちはずっと「頑張って」きたのですから「うまくできなくても仕方ないよね」と、自分自身の心と対話し、いたわってあげるきっかけにしてほしいのです。
合理化ママへのアドバイスは、子どもの話を聞いたら、途中で「でもね」は使わないことです。「でもね」の次に来るのは、必ず親の意見です。結局、子どもの考えをコントロールしてしまうからです。
きょうだいゲンカが起ったときは、言い分を聞く順番を決めず、それぞれの顔をみながら、ただ相づちを入れます。上の子が言い出したら、「そうなの」とうなずき、下の子が口出ししたら「うんうん」とあいづちをうちます。忙しいですが、子どもが「自分の意見を聞いてくれた」と満足すると、ケンカの回数自体が自然に減ってきます。
ママはただのんびりと子どもの話を聞いてあげる、それだけで十分なのです。
「聞く耳をもたない」のは自信がないから 子どもや人の話に聞く耳をもたず、自分の正論をふりかざす。また、自分の話しかしない。こうしたケースの人は、子どものころ、親や先生から過剰な期待を受けて、それを一生懸命こなしてきた人が多いのです。
大人に合わせることを優先して、自分で判断することをしてこなかった。でもそのときはその子なりに、一生懸命頑張ってきた結果なのです。
そんなママたちの心の中は、「自信がない」のです。自信がないから「自信があるように」ふるまいます。また、権威や、自分より立場が上の人には弱く、迎合しますが、自分と同等、格下と判断した相手には、絶対に譲りません。
一方、こういうママに育てられた子どもは、友達に対してなかなか譲ることができません。逆に自分より強いものに対しては弱いので、その人の意見、情報を盲目的に信じやすい傾向があります。
また、上のようなママを見て「心がザワザワする」ママもまた、自分の中に似ているものがあって、反応してしまっていることがあります。だから積極的に相談に乗ったり、いちいち目についてしまい、関わったりしてしまうのです。
「聞く耳をもたない」ママに対しては、「気にしない」「関わらない」で、受け流してよいのです。 まずは自分自身を良好な状態にすることが先決です。