教育[725]

子どもの成長における我慢の必要性と自己主張の育て方

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執筆者:門衛 教育運営チーム

自分の子どもは、きちんとした聞き分けのよい子にしたいとか、優秀な子どもに育てたいと思う親は多いものです。

いろいろな考えがあって良いと思いますが、子どもにどのような大人になってもらいたいのかを具体的にイメージできない人もいます。

わが子の将来像を夫婦で話し合って、ある程度方向性を決めておくと、子育てはスムーズにいきます。その中で「ガマン」についても考えを一致させておけば、不要なガマンを強いることはなくなるでしょう。

必要なガマンは、子どもの年齢や発達の度合いによって少しずつ異なります。自己主張の出てくる1歳半ごろから3歳までの時期に「自分でやってみたい」「ちょっと冒険したい」などの気持ちを無理に抑え込んでガマンさせてしまうと、意欲の乏しい依存的な子どもになりやすいので注意が必要です。

でも年齢に関係なく、子ども自身や社会(小さな単位で家族も含む)にとって必要なガマンもあります。

では、必要なガマンと不要なガマンは、どこで見極めればよいのでしょうか。

実は、3~6歳の子どもにさせなければならないガマンは、基本的には次の3つで、それほど多くはありません。

・命に危険が及ぶ行動はさせないようにガマンさせる

・人に迷惑をかける行動はしないようにガマンさせる

・人を傷つけるような言葉は使わないようにガマンさせる

この3つを軸に考えれば、無理なガマンを強いて、子どもの自己主張の芽を摘んでしまうことは避けられるでしょう。

させてはいけないガマンがある

幼児期の子どもは、自我が発達する時期なので「自分でやる!」と主張することが多くなります。

部分的にお母さんが手伝って、最後は自分でできたと思わせなければならないのですが、時間がかかるため、つい叱りつけながらお母さんが何でもやってしまいがちです。

子どもの「自分でやりたい」という気持ちをガマンさせて、親がやってしまうのです。

急いでいるときは、ある程度仕方がありませんが、ガマンばかりさせていると、子どもは「自分でやってはいけない。叱られるし、上手にできないから」と感じて、身の回りのことを一切やらなくなってしまいます。

ここでは、そんなふうになってしまったAちゃんのケースをご紹介したいと思います。

Aちゃんのお母さんは、Aちゃんが何かしようとするたびに、「こぼしたらどうするの!」「何のろのろしているの!」と叱りつけ、なんでもしてしまうお母さんでした。

そのためAちゃんは、幼稚園に入っても、自らの意思で着脱衣やトイレでの排尿便、食事をとることをまったくしなかったのです。

けれども先生の指示や本の理解、字を書くことなどには優れていて、おしゃべりも大人と同じようにできる子どもでした。

つまり、発達の障害はなかったのです。

Aちゃんは、同年齢の子どもの中にうまく入れず、いつも先生のそばにいましたが、時間の経過とともに、それなりに着脱衣や食事などは自分でできるようになっていきました。

ところが2学期が始まって、Aちゃんはまったく登園できなくなってしまったのです。夏休みに入り、幼稚園で少しずつ身に着けていったものが、再びできなくなっていたことが原因でした。

毎日お母さんが急がせては怒り、手を貸すことを繰り返していたためです。

Aちゃんは幼稚園をやめ、保育園に転園することになりました。お母さんは自宅で仕事をされていたので、内心はほっとされたようです。

保育園に入り、Aちゃんは長い時間を園で過ごすことになり、自分でやりたいことを自由にやれるようになって、友達もでき、活発に行動できるようになっていきました。

嫌なことは「嫌だ!」とはっきりとお母さんにも訴えられるようになったのです。小学校は、問題なく登校しています。

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教育総合ランキング2024/11/21 更新

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