世の中には、たくさんのマニュアルが存在します。マニュアルは、その通りに行えば大きな失敗はないので、とても便利です。
ただし、世の中の人間がすべて同じマニュアル通りに成長し、行動し始めたらどうでしょう? 多分、みんなができることもできないことも一緒になってしまいますから、社会が成立しません。これは、とても怖いことです。
わが子に対して、素直ないい子であってほしい、運動も勉強もできてほしい、などと親の思いは尽きません。しかし、その思いと違うわが子の姿を見せつけられると、親は不安になり、子育てが苦しいものになってしまいます。
そんなとき、わが子の姿を個性と捉え直すことができたら、きっと目の前の子どもの姿がかけがえのないものになるでしょう。
人の性格は十人十色です。一見短所にみえるような性格は、裏を返せば長所になります。
例えば、落ち着きがない、といわれる子どもよくみると、身の回りのさまざまなものに関心があって、好奇心旺盛だったりします。落ち着きのなさを抑制することばかりに目が向いてしまうと、その類まれな知識欲の高さをつぶしてしまうことになります。子どもの性格を両面から捉えて、良いところに注目すると、子どもの個性が輝き出します。
人の成長には順番があります。ですから、例えば運動でいえば、まだハイハイをし始めたばかりの子を立たせて、手押し車を押させて歩かせたとしても、体の使い方の不器用さが目立ったりします。それは運動だけではなく、学習や生活面でも同じです。
子どもを無理やり伸ばそうとすると、風船が割れるように、どこかで破綻が生じます。子どものペースに合わせて、その子らしく成長していく姿を支えることが大切です。
・ぶれない
子どもはすねたり怒ったりしても、「軸をもっているあなた」を尊敬します。
小さいこどもが、自分の好きなことを飽きることなくやったり、好きな物を手に入れるために駄々をこねることは当然です。ただし、こうした子どもの要求を無条件に受け入れ続けると、親を意のままに操る子どもに成長します。そして、すぐにキレたり、反対に何に対してもやる気のない態度をとる無気力な子になっていきます。
子どもにとって、親は安心できる存在であってほしいと思います。そのためには、何を受け入れ、何を受け入れないのか、その一線はいつだってぶれてはいけません。親の気分や都合で良いことと悪いことが変わってしまったら、子どもは何を頼りにすればいいのかわからない、不安定な状態が続くことになります。
・ほめてのばす
ほめる行為は「愛情を伝える応援」です。子どものやる気と自信につながっています。
人は誰でも、人に認めてもらいたいという欲求をもっています。子どもは、さまざまなことに耐性がついていませんから、その思いが強いのは当然です。最も身近な、両親にほめてもらうことによって、最善の判断がつき、自分自身を大切にできる子になります。
そして、成長していく中で出合う多くのことに、前向きに取り組む姿勢が育まれます。
反対に怒られてばかりいる子は、「自分はダメな子だ」と思うようになり、新しいことを学ぶ力が出てきません。 まずは、子どものできることに目を向けて、当たり前だと思わずに、「○○ができる□□ちゃんはすごいね」と言ってみましょう。子どもの力を伸ばすだけではなく、きっと家の中が明るく心地よいものになるでしょう。
・子どもの力を信じる
あなたが心からの期待をそのまなざしに込めれば、子どもは無限の可能性を見せてくれます。
親は、子どもの成長に伴って、こんな子に育ってほしいという、将来像の青写真を描き始めることが少なくありません。しかし、得てして子どもはその通りにはならないものです。
大人は、現在の状態から未来を予測することができますが、子どもによっては多くのことが初めての経験です。大人の価値観から子どもの行動を強制してしまうと、大人の作った窮屈な箱の中に子どもを閉じ込めることになってしまいます。
子どもは、本来「できる」や「わかる」ことを貪欲に求める力をもっています。許されることと許されないことの一線が明確で、できたことに対して正当な評価をされながら育ってきた子は、たとえ、そのときに結果が出せなくても、きっと無限の可能性を発揮します。
子どもとのペースが合わなくて、イライラしたり困ったりすることがありませんか?あなたとお子さんのペースの違いと、どのようにお子さんに接するのがベストかを確認しましょう。
・せっかちママ×せっかちさん
常に先を考えながら効率よく動くお母さんです。体を動かすことが大好きな活発なタイプです。お互いに何でも早くやろうとするので、同じ目標があると、力を合わせてパワーを発揮することができます。
ただ、時として収拾がつかなくなる可能性があり、例えばあなたのやりたいこととは違うことをお子さんがしていたら、「何やってるの!違うわよ」と叱ってしまうかもしれません。
ガミガミ言いそうになったら、いったん気持ちを落ち着かせましょう。あなたのやりたいことは、お子さんがやっていることより優先させるべきものなのかを整理してみてください。お子さんを優先できる事項であれば、お子さんに合わせていくことで、親子の絆がさらに強まるでしょう。
・せっかちママ×のんびりさん
テキパキ行動し、物事を手早く片付けられるお母さんです。お子さんは何事もじっくり考えて取り組むタイプです。
そんなお子さんが、あなたにはのろのろ、ぐずぐずしているように映り、つい「早く!」と急かしてしまいがちかもしれません。もどかしさから手を貸して、あなたが全部やってしまう場面もあるでしょう。するとお子さんは、できるはずのことが上手くできなくなったり、一人でやり遂げられなくなる可能性があります。
まずは、一呼吸して見守りましょう。そして、朝の忙しい時間などは、ある程度まで手伝っても、その先をお子さんにやらせてみてください。一人で最後までできた達成感が自信につながり、少しずつスムーズに動けるようになるはずです。
・のんびりママ×せっかちさん
穏やかで落ち着きのあるお母さんです。お子さんはやりたいことは今すぐやりたい行動的なタイプです。元気なお子さんに安心しつつも、興味の対象を次から次へと変えてめまぐるしく動く様子が、あなたには落ち着きがなく映るでしょう。食事や片付けなどを中途半端に終わらせて困ることもあるかもしれません。
そんな時には、「どっちが早く片付けられるか、お母さんと競争しよう!よーいスタート!」と、ゲーム感覚であなたも一緒に取り組みましょう。お子さんの行動力を活かしながら、最後までやりきる力を身に付けさせることが大切です。
そうすることで、集中力や継続力が高まり、好奇心旺盛なお子さんの可能性をさらに広げていけるでしょう。
・のんびりママ×のんびりさん
おおらかで優しいお母さんです。お子さんは、焦らず落ち着いて行動するタイプです。どちらもゆったりした雰囲気を持っており、あなたがお子さんを急かしたりガミガミ怒ることは少なく、お子さんは安心に包まれていることでしょう。
ただ、何事にもスローペースの傾向があるので、いつまでもご飯を食べていたり、時間に遅れそうになって親子で慌てる場面があるかもしれません。
集団生活で困ることがないように、必要なところはスピードアップさせることが大切です。目標を設定して、「何秒でできるかな?」「時計の針が5にいくまでのやってみよう」など、楽しみながら行動させてみましょう。次第にメリハリのある動きができるようになるはずです。