仕事のキャリアが長いママが溜息をついて言いました。「私はなんでも思い通りにやって生きてきた。あなたのこと以外ではね」と。その通りですよね。子育てって全く自分のペースや思い通りには行かないものです。
トイレで用を足している最中に母乳を欲しがって泣いたり、夕飯の支度でバタバタして揚げ物をしているとき、電話をしているときなどに限って「僕の方を振り向いて~」と親の気を引こうとして騒いで中断させようとしたり・・「絵本を読んでくれ~」「一緒に積み木を作ってくれ~」「パズルの一片がなくなってしまった~」とまとわりついてきたり・・・。
「こうなってほしい」と願っても、努力しても子どもは思い通りに動いてくれないことが多々あります。これにジレンマを感じるママも多いようです。
そこで、『1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』の著者の立石美津子がお話します。
厚生労働省が発表した平成25年人口動態調査によると、第1子の女性の平均年齢は30.4歳です。女性の社会進出による晩婚化によりこれからも出産年齢もますます上がっていくでしょう。
20代前半で生んで、子どもが子どもを育てている感じで「自信がないから教えてください」と自分の知識のなさを素直に表現できる若いママと違って、年齢が上で初産するママの中にはある程度、会社でキャリアを積んできた人がいます。
すると、周りの子育てママを見てきた経験もあり、それなりのプライドや“理想のママ像”“理想の子ども像”が既にあったりして、それが邪魔してしまうこともあるようです。そして、自分が描いていたこととのギャップに苦しむこともあります。
20代前半で子どもを産むと自身の親もまだ50代の人も多いです。孫が出来て“お祖母ちゃん”と呼ばれていてもまだまだ若く体力もあります。中には40代で孫ができお祖母ちゃんになる人もいます。
ところが、妊婦の高齢化により、例えばママが40歳で初産ですとその親はもう70歳越している割合が多くなります。
するとそんな年老いた親に、目が離せない赤ちゃんや走り回る幼児を預けることが難しくなります。さらに親も病気を抱えていたり、中には子育てがスタートすると同時に自身の親の介護が始まる人もいます。すると自身も40代で若い頃と違って体力も気力も衰えているのに、更に自身の子育てと親の介護のダブルパンチになります。
仕事が長いとそれなりのキャリアがあります。そして、そこそこ会社でも評価されていたりします。受け取る報酬も入社したての人よりも多かったりします。けれども、自分が頑張れば頑張るほど成果が出ていた仕事と違い、子育ては自分以外の人間を育てていく作業です。 思い通りにはいかずイライラが募ることもあります。
保育士などの経験があり子どもと接する機会がある人はそう多くはありません。今まで全く子どもと一緒に生活する経験が皆無だった人のところへ、突然赤ちゃんがやってくるわけです。経験がまったくないのでどうしたらよいのかわからなくなる人もいるようですね。
あるママが40歳で子どもを産みました。するとママ友の最高齢となります。「子どもにお友達を作るため」と言い聞かせ、気が進まないのに無理してランチに同席したり、カラオケにも付き合う人もいます。
そこでピンクレディの歌を唄って一緒に踊ってくれる仲間もおらず、「赤ちゃんが生まれて胸がボインになった(=今でいう巨乳になったということ)」といったら、もうそれは死語で「???」の顔をされたり・・・だから、最新の話題について行こうと無理して頑張ってしまったりします。これでどんどん疲弊してくケースもあります
高齢で子どもを産んだ事実は替えることはできません。でもマイナス要素だけではありませんよ。
●人生経験豊富なので若いママの相談にのれる。
●若いママと触れて今の新しい流行りを取り入れられアンチエイジングができる。
●20代で子どもを産んだ人に比べ、自分のやりたい趣味、海外旅行にもさんざん行き仕事も思い切りやった上で子育ても出来ている。人生豊かに生きている。
●夫婦ともそれまで働いていて貯蓄もあり、お金にゆとりがある生活の中で子育てができる。習い事をさせる余裕もあったりする。
●遊園地に行ったりPTA活動に参加したりして、子育てを通して仕事では知り得なかった世界を体験できる。
こんな風に考えてみてはどうでしょう。
こんなことを言っていた人がいます。「私はなんでも思い通りにやって来て生きてきた。あなたのこと以外ではね」と。本当にその通りですよね。
でも、人生半分、自分の好きなことをやってきて社会経験も積めて、更に自分の子どもを持つこともできたあなたです。これからも子どもを通して今まで経験したことのない世界を経験できるわけです。
そして「子どもに自分が育ててもらっている、人間としての修業を積んでいる」とプラスに捉えてみませんか。そう考えると子育てって楽しいですよ。
※この記事を書いた立石美津子さんの著書
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