子どもは「1日のうちに四季がある」ようなものです。梅雨時のように泣いて、秋空みたいに笑顔になり、夏の炎天下のごとく熱くなって、雪が降るように静かに集中します。
感情や言動が短いサイクルでコロコロと移り変わるのが幼児期の特徴で、テンポの速さに大人たちは振り回され気味です。
でも、その四季の変化が乏しく、テンポも遅くなって、親が「今日は楽チンだな」と感じたときこそ、注意が必要です。 「無理をしている」「心の背伸びをしている」サインなのかもしれません。そんな時は優しく包み込むようなフォローをしましょう。
「口元は心のサイン」です。普段の子どもの口は食べてしゃべって大忙し。アイスクリームや遊園地、旅行の話題にも飛びついてこないようなら、「大丈夫?熱でもあるのでは?」という心境でしょう。
心配になるのも当然です。普段よく話す子が黙っているときは、決して「おとなしくしてくれて助かる」などと放置しないでください。
指先をフルに使う遊びをしたり、家事の手伝いをお願いしたりして、「いつもいっしょ」と体感させると元気になり、少しずつ話し出すようになると思います。
指しゃぶりをしたり、爪や袖口を噛んだりしていた場合、これらの行為は不安や孤独感をまぎらわそうと無意識にやっている行為なので、やめさせようと叱ってもムダです。友達の引っ越しなど、不安やさびしさの原因がわかっているのなら、肩を抱いて「さびしいね、悲しいね。でも大丈夫」と優しく寄り添って慰めましょう。
このケースは、「しっかり者」になりたくてなったというより、親の「言うことを聞きなさい。自分でやって。手伝って。」のオーラに負けて「いい子」になり、がんばりすぎたお兄ちゃん、お姉ちゃんに多いケースです。
我慢できなくなり、「もっと自分にも注目して(愛情を注いで)ほしい」とアピールした結果が、親の目には「反抗、わがまま」に見えたのかもしれません。
4,5歳児くらいになると単に甘えだけではなく、自分の存在価値に漠然とした不安を持つものです。「僕が好き?」「私がいるとうれしい?」という確認作業をうるさいほど繰り返すことがありますが、「今はダメ」とか「あとで」と追い払うのは厳禁です。
その場で「あなたが大好き!うれしい!」と伝えましょう。反抗に厳しい言葉は逆効果。そんな時は、手も足も口も、子どもをやさしく抱きしめるためにあると思ってみてください。
「おなかが痛い」のように、心のモヤモヤがすぐに体調に出るのが幼児です。
幼稚園で失敗したり失恋(?)したり、友だちとケンカしたり・・。不安、悲しみ、悔しさなどが入り混じった複雑な感情をもてあましているのかもしれません。 しっかり向きあって話を聞き、「そうなの、悔しかったんだね」と感情を代弁すれば、子どもの心は落ち着き、スッキリします。
このとき、「こうすればいいい」などと先まわりしてアドバイスするのはNGです。子ども自身が小さな頭で悩んで、ささやかな解決法を思いつければいいのです。
また3~5歳児は足の成長痛が起きやすい時期でもあります。「痛くて歩けない(走れない)」とゴロゴロしているときは、「仮病では?」などと疑わずに、優しくマッサージをしてあげましょう。スキンシップは最高の「手当」になります。