家庭、それは本来、誰にとっても心のふるさとであり、帰りたくなるやすらぎの場所です。
家庭は、人の心の原点を形づくるとともに、それ以降の成長を支える場所でもあります。特に子どもにとっての家庭は、初めて自分以外の人と出会い、集団で暮らす場所となり、そこでやすらぎ、学ぶことの大切さは、その後の子どもの人生にとって計り知れないほど大きいものです。
穏やかな家庭が人と関わる力を伸ばす 子どもは愛情をこめて世話されることで、自分は大切にされ、愛される存在なのだという心地よさと自尊心を得て、世話をしてくれる人に対し、愛情と信頼感を持つようになります。
この愛情や信頼感は、これから出会う人々に対しても同じように働くので、多くの人と良好な関係を築きやすくなります。
また家庭は、子どもによって心身の安全基地。心が揺れ動いたときやつらいときに戻れば癒され、外の世界に出て行く意欲を回復できます。家庭がやすらぐ場所であるということは、家庭を超えて、子どもがより広い世界で他者と関わりながら、自己の力を発揮していくことを支えるのです。
ただ現代はストレスに満ちていて、大人も悩んだり、行き詰まったりする時代です。親なら誰でも子どもは可愛く、愛しい存在ですが、様々な原因で家庭本来の機能を壊してしまう、あるいは、雰囲気を悪化させてしまうことがあります。もう一度、家庭本来の役割を考え、どうすべきか考えてみましょう。
・安心、安全な居場所
家庭の役割の中で最も基本的なことは、子どもの健康を願い、3度の食事を用意し、着るものを着せ、安心して眠れる安全な場所を提供することです。これらは人間が生きるための基本的欲求で、家庭はこの欲求を満たす第一の場となります。
・愛情や信頼関係を育てる
家庭は、子どもをまるごと無条件に愛し、何かあったときに守る場所です。愛され、守られているという実感を持つ子どもはそうしてくれる家族に対して、同じような愛情や信頼感を寄せるようになります。
・価値やルールを伝える
家庭内であっても、気持ちよく暮らしていくためには、守らなければいけないルールや秩序があります。相互に配慮し、思いやり、時には自己コントロールすることの大切さを、その子の成長にふさわしい形で伝えていきます。
家庭が安心、安全であり、愛情や信頼関係が形成され、ある程度の秩序があると、家族が落ち着いて穏やかに暮らせる雰囲気が出てきます。そのような家庭では、親子それぞれが、大らかに自分の力を発揮していけるものです。
逆境を乗り越える力がつく 子どもはイキイキと自分らしさを表現し、本来、持っている知的好奇心や探究心を発揮して、自ら周囲の人や物事に関わり、自分の世界を広げられるでしょう。
また、何かにぶつかって気持ちが凹んでも、その問題を乗り越え、回復していけるような「しなやかな強さ」も身につけることができます。というのも家庭の雰囲気が良いと、子どもの気持ちに共感し、それを乗り越える道をともに歩める、あるいは、そっと見守り、「必要なときはいつでも援助するよ」という眼差しを、あなたを含め家族全員が持てるようになるからです。そうなれば、下記のような良い循環が生まれます。
子どもが安らげる家庭
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家族全員がイキイキと自分を表現できる
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子どもを優しく見守るゆとりが生まれる
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家族の温かな目が、子どもが壁を乗り越える力になる
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逆境を乗り越え、子どもには自信がつき、家族の絆が深まる