本来、子どもの気持ちがやすらぐ家庭とは、子どもの欲求を満たしつつ、親が家庭の3つの役割を果たすことによってつくられるものです。
しかし、知らず知らずのうちに、あるいは、やむを得ず、その役割を果たせない家庭を築いてしまうことがあります。
子どもは家庭で十分な世話をしてもらえなかったり、怒鳴られてばかりだと、安全・安心な居場所を失い、不安になったり、混乱します。また、親の愛情が感じられないと、親に対して反発や不信感を抱き、心を閉ざしがちです。この他にも、子どもの心を萎縮させてしまう原因があります。
子どもが心を閉ざす家庭の3大特徴を見てみましょう。
基本的に「うちの子は~ができない」「~が遅い、ダメな子」と、今のあるがままの姿を認めず非難したり、バカにしたりしていると、「できない子ども」を変えようとして何でも指示したり、命令的な口調になってしまいます。
子どもが思い通りにできないときは、「だから、ダメなのよ」と子どもの心が傷つく言葉を吐きがちです。子どもは自信を無くし、自分は「何をやってもできない子」「ダメな子」というレッテルを自分に貼り、自信や自尊心を失ってしまいます。物事に取り組む意欲も失い、「どうでもいいや」と投げやりな態度を取るようになるかもしれません。
最終的に、人を育てるのはその人自身の捉え方、すなわち、自己概念のあり方です。幼いときから自分ダメな子だという自己概念を持つと、その後の学ぶ意欲を失いがちになります。
子どもが小さいときは、発達のペースや性格の個人差が大きいものです。「この子は~だ」と決めつけずに、長い目で見守りましょう。
できないことをなじっても、子どもを傷つけるだけです。自信や自尊心を奪わないように、わが子のペースや個性を尊重することが大切です。
自分の理想像に近づけるため、常に子どもにプレッシャーを与える親がいます。
子どもを思うあまり、また、自分のできなかったことを子どもで実現しようとするあまりに、わが子の状態が見えなくなっているのです。
「あなたならできるはず」「できないのは努力が足りない」などと、子どもに過度な期待を押しつけ、高い目標に到達することを命令口調で強制します。
目標に達しない子どもは認めないので、あるがままの子どもを受け入れ、ほめることはしません。
子どもは親にほめてもらいたいので、親の期待に沿おうと一生懸命頑張りますが、どんなに努力してもほめてもらえないのでやがて疲れてしまい、投げやりな態度を取るようになります。
また、親に反発して心を閉ざしたり、満たされない欲求を望ましくないやり方で、他の人や他の場所で発散するようになるのです。あなたの期待することが今の子どもにとって困難すぎないか、できないときに子どものせいにして失望したり、非難してはいないか振り返ってみてください。
そして、子どもがイキイキと生活できるように、いろいろな場面でその子らしさをほめていきましょう。
いつも忙しそうだったり、子ども以外のことに夢中になっている家庭では、子どもが親を求めたとき、邪魔者扱いされたり、叱られたりすることがあります。
そのような家庭では、「お母さんはぼくより、仕事のほうが大事なんだ」「ぼくのことなんか、どうでもいんでしょ」と、親に愛されているという実感が持てず、心の安全基地を失い、子どもは混乱したり反発したりしがちです。
親であなたは、実際に関わらなくても子どものことは考えているし、必要な物は与えていると思うかもしれません。
でも、子どもには届いていないこともあるのです。また、親自身が、生きることや家庭を維持することに精一杯なときもあるでしょう。そのようなときは、精神的な余裕がなく、子どもとゆっくり関わることが難しくなるものです。