道を歩いていたり、電車に乗っていたりすると、母子の姿をよく目にすることがある。子どもを連れて未知の草々の名や、花の名前を子どもが訊かないうちから教えたり、電車の中で英語を教えたり、算数の九九を暗唱させたりしている姿によく出会う。
「あれはね、タンポポといってね、葉や根は胃の薬になるのよ、それにこれは西洋タンポポで日本のものではなく外来種というのよ」と話している。
このような場合、多くの親は子どもに早くから知識を与え、多くのことを覚えさせるのが教育だ、と思っている節がある。だから花の名前にとどまらず、知っていることは何でも教え込もうとしている。こういう会話だけで親子のコミュニケーションが成り立っている家庭が多い。最も近年また早期の英語教育、学力重視の早期教育の方針が打ち出されたことで、親子の間では、コミュニケ―ションの内容をこうした知識のやり取りと思っている親も多い。
それ故に教えたことを子どもが覚えていなかったりするとカリカリする親が多い。
そしてこれ以外の日常での生活や、友達のこと、人間として生きていくための正しい習慣や、身に付けた方が良いと思われることについての会話に関しては、何をどのように話したらいいのかわからない、という親も多い。
つまり「子どもとのコミュニケーションが苦手な親」ということになります。
それではどうすれば子どもとのコミュニケーションがとれるのか。
先程の例でいうならば、タンポポの花のことをよく知っていても、子どもに訊かれた際、「知らない」と答えます。「お母さん知らないのだけれど」と言ってみると、子どもが知っていれば「タンポポって言うのよ」と教えてくれます。「そう、良く知っているわね!」、「こっちのタンポポとむこうのタンポポは違うでしょう」と子どもが言ったら「あら、そうなの?気づかなかったわ」そんな演出をすることで、「西洋タンポポって言うのよ!」、「そうなの、よく知っているわね!お母さんも勉強しておけばよかった。そうだ!あの花を1本だけ採って、家に帰ったら植物図鑑で確かめてみましょうね!」とどんどん会話が弾んでいきます。そしてその後、「採ったタンポポは助かるかわからないけど庭に植えて水をかけてあげましょうね!」と会話を続けていくことです。