教育費は、文部科学省の「子供の学習費調査」でおおまかな数字を把握することができますが、この調査は学校教育にあたる、幼稚園から高校までを調査対象としています。
幼稚園は学校教育法に基づく学校、保育園は児童福祉法に基づく児童福祉施設とされているため、保育園にかかる費用はこの中に入っていません。
しかし、共働き家庭では、保育園に通う以外選択肢がない家庭が大多数であるため、保育園に通う6年間の費用も無視できません。ここでは子育てにかかる費用として、保育料とはどのくらいかかるものなのかを詳しく見ていきます。
まずは、公立保育園の保育料の決まり方について、制度の面から解説をします。後半では具体的にどの程度保育料がかかるのか、きょうだい構成によって変わってくることなどを解説してきます。
親が働いている間に預かってくれる施設には様々なものがあります。
0歳児から5歳児までを預かる公立の保育園、私立の保育園(認可、認証、無認可)、または英語教育を柱とした私立のプリスクールなどもあります。
保育料を決める要因としては、以下のような要素があります。
〇保育園側の要因→公立か、私立か、認証か、無認可か
〇家庭の要因→所得水準、家族構成、第一子か、第2子以降か
こういった要因と、自治体の財政状況で負担額が変わってきます。公立では、低年齢の園児の保育料が高く、年齢が上がるにつれ保育料が安くなります。一人の保育士さんが担当する園児数の違いや、おむつ替えなどのお世話が減るのが要因です。
次いで私立の保育園、さらに英語の保育園や、お受験向けの教室を兼ねた保育園などで費用が高くなっていきます。
平成27年4月には、子ども・子育て支援新制度が本格的にスタートし、区立の保育園や幼保一体型の認定こども園(私立も含む)への入園申請の際に、認定区分の交付を受けることになりました。
認定区分とは、「保育の必要性」を自治体に認定してもらうことで交付されるもので、1号~3号までの区分があります。
1号認定・・・満3歳以上、認定こども園、幼稚園への通園
2号認定・・満3歳以上、保育園、認定こども園への通園
3号認定・・満3歳未満、保育園、認定こども園、地域型保育への通園
1号はいわば幼稚園に通う園児のことで、2号認定は保育の必要がある園児、3号は、幼稚園の未就園児で、保育の必要がある幼児のことを意味します。
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共働き家庭で大多数の家庭が通うことになる保育園の費用について、前述では子ども・子育て支援新制度での認定区分についてご紹介しました。
この先後半では、保育料が変わる大まかな仕組みや、同じ認定区分でもきょうだい構成による保育料の違いがあること、待機児童に対する補助金のご紹介もしていきます。
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保育料は、前半にてご紹介した、3号認定(3歳未満乳児)、2号認定(3歳以上幼児、保育あり)、1号認定(3歳以上幼児、保育なし)の順に低くなります。前述の考え方同様で、年齢が低く、保育時間が長いほど保育料は高くなるということです。
ある自治体の例を挙げると、3号認定の一番高い階層で77,500円にもなります。進級して3歳児以上になるとこの階層の保育料は43,500円に下がります。また、保育なしで幼児教育のみを受けることになる1号認定の第1子は25,200円です。
一方、第2子はほぼ半額、第3子は無料となりますが、この場合の第2子、第3子の考え方が特殊なので注意が必要です。
1号認定(幼児教育のみ)の園児はきょうだいがいる場合に、小学校1~3年と、幼稚園保育園に在籍する児童の中で年齢の高い順に第1子、第2子と数えます。よって、小6、小2、年中(4歳児)というきょうだい構成の第3子は、保育料算定上第2子との扱いになります。
2号、3号認定(保育及び幼児教育)は、小学校以上の在籍児童はきょうだい数に数えません。よって、上記の例ですと、4歳児の児童は第1子となってしまいます。
5歳、3歳、1歳のきょうだいですと、ある自治体では5歳が満額、3歳が半額、1歳が無料というように、負担が軽くなるようになっています
新制度下では、家庭の就労実態によって保育の必要量も区分されます。
フルタイム就労を想定した保育標準時間(最長11時間)
パートタイム就労を想定した保育短時間(最長8時間)
ある自治体の例では、保育短時間は標準時間より保育料を1.7%軽減するそうで、少し保育料に差が出ているようです。
最終的には、従来通り保育の必要性と家族構成等を加味した自治体の調整が入り入園が決定するので、2号、3号認定を受けたパートタイム就労従事者が必ず入園できるとは限りませんが、パートタイムでも保育園申請にチャレンジできる環境にはなってきたようです。
私立保育園は所得に関係なく、年齢や預ける時間によって保育料が変わります。一般的な認証、認可外保育園の保育料は、月6万円から10万円程度です。
また、認可保育園へ申し込みしていて外れた場合に自治体から2万程度補助金が出ることがあります。これらの補助金は、「認可外保育施設利用者補助金」等と呼ばれます。
保育料がいくらとは一概に言えない事情がおわかりいただけるのではないでしょうか。
上記から試算すると、0歳児から公立保育園に預けると、最高所得水準の場合、6年間で400万円以上かかる人もいます。所得水準やきょうだい構成、また制度変更でも費用が変わってきますので、毎年のように保育料が変わるケースもあります。詳しく知りたい方は自治体の窓口で相談しましょう。