「学校基本調査」というものがある。文部科学省が全国の学校に在籍する生徒数や職員数、その他学校の諸々に対する実態調査である。
各県各自治体の教員委員会を通じ、日本の学校の在り方全体を把握する目的がある。
他にも「進路状況調査」「事故調査」などたくさんの調査報告がある。これらの調査の中に「中途退学調査」「長期欠席者調査」など児童、生徒、学生たちの学校生活に関する大切な調査がある。
中でも「いじめ実態調査」「いじめによる事故、自殺調査」はおろそかにできない重要な調査である。
調査に関わらなくとも「いじめ」と判断された場合は、その都度迅速に対応し、その対応と結果を教育委員会に報告しなければならない。
これは、学校における事故、いじめ、暴力事件、その他に関わる事故報告義務が学校の責任者、つまり校長等の指導監督義務を有する管理職の責任義務である。
これは「児童生徒学生の命に関わること」であるため最も重視され、最も重く受け止めるべき事項である。
ところが、この報告がなされていなかった痛ましい悲劇が再び起こってしまった。
あの大津市の「いじめによる自殺」であり、今回は岩手県矢巾町の少年が、いじめを受け続け、電車に身を投げて自殺をしてしまった。
あの大津市でも矢巾町でも、校長は最初「いじめはなかった」と言っている。
次には教育委員会でも「いじめの報告は聞いていない」と応えていた。
教育委員会が「いじめの報告は出ていない」と報道した途端に校長は「いじめと認識していなかった」と述べていた。
やがて本人の父親に対してや、保護者会で説明する機会が作られ、そこで初めて校長は「申し訳なかった」と謝罪の言葉を発した。
教育委員会への「事故報告」は極めて重い義務がある。学校で起きた事故については、裁判という方法と、双方の話し合いによる解決があるが、近年はほとんど訴訟となる。
その際に最も大切な判断材料となるのはこの「自己報告」である。
まず「いじめ、その他の傷害事故、事件」と判明した時点で「電話による報告」をする。
次に「校内調査の結果」を報告する。そして、事のあらましを文書によって報告する。
この間、学校では教師や担任、職員からあらゆる知り得たことを収集し、教育委員会へ報告をする。
当初の電話報告を受けた時点で教育委員会では、指導課、管理課の専門職が学校の校長と相談、意見を交え対策指導を示し、事件が大事に至らないように適切な処置をする。
こうした手続きをきちんとしていれば、あの大津市の事件も、今回の岩手県の悲しい出来事も防げたかもしれない。
もしもこの報告を怠ったことが、校長の評価に関わると考えて報告をしなかったとすれば言語道断な事である。
それでは「いじめを受けた果てに自殺」をした青少年の命をあまりにも軽く考えていることではないか。
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