[家庭のこと]“カエルの子はカエル“”トンビが鷹をうむ”どっち?

“カエルの子はカエル“”トンビが鷹をうむ”どっち?

2016/05/27

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こんにちは。『1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』の著者の立石美津子です。

 “カエルの子はカエル“という諺があります。凡人からは凡人が生まれるという意味です。でも、“トンビが鷹を生む”の諺があるように平凡な親から天才が生まれることもあります。どっちなんでしょうか?

■人の成り立ち

人の一生は母親の卵管の中で卵子と精子が出会い、受精するところから始まります。この受精という現象はママとパパのそれぞれの23対46本の染色体がほどけ、卵子の母由来の23本と、精子の父由来の23本の染色体が合体し新たな46本の染色体として新しい細胞が一つ作られることです。そして次々と細胞分裂して子宮の中で胎児として育つのです。

ですから半分はお父さんの遺伝、半分はお母さんからの遺伝なのです。

また、半分だけもらうので子どもは両親どちらかと全く同じ遺伝子をもっているクローン人間ではありません。父親のコピーでもなく、母親のコピーでもない別人格なのです。

■親と同じ思いをさせたくない?

こうして、ご先祖様から、様々なものを受け継いで生まれてくる子ども。絵がうまい親の子どもも絵が上達したり、手先が器用で字が綺麗な親の子どもの字が上手になったり・・・音楽系、芸術系の才能がある親からこれらに秀でた子どもが生まれます。

裏を返せば親がそうでもなかった場合、親に似てまったく才能がない場合もあります。

そうなると、逆に親は「自分は運動神経が高くない。特に水泳が苦手だったらから子どもにはコンプレックスを持たせたくはない。だからスイミングを習わせたい」となってしまうわけです。これは親として当然の思いですが、子どもにないものを求めて引っ張ると、当人はしんどいこともあると思うのです。

■親が果たせなかった夢を子どもに負わせる

「私は見た目も歌も踊りも今一つでアイドルになれなかった。だから娘にはこれらを習わせてアイドルに育てる」

「運動能力がないため野球選手にはなれなかった。だから息子にはサッカーでも野球でもメジャーデビューしてスポットライトを浴びてほしい」

こんな期待をしてしまい、子どもがなりたいものではなく“親がやらせたいもの”をついやらせたくなることもあります。

でも・・・

犬の子どもは子犬です。犬からは子猫は生まれません。また、犬を産んだとしてもブルドックからプードル、ポメラニアンが生まれることはなく同じ種類の犬しか生まれません。人間が子どもを産むと人間の子が産まれますが、顔かたちも気質も能力も親のものをある程度、引き継いで生まれます。このことを頭の片隅に入れておきましょう。

■性格、気質も遺伝する

朝顔の種を植えても桜は咲きません。どんなに桜の花を咲かせてほしいと願っても朝顔の花しか咲きません。

花のようにパパ似、ママ似など顔つきも似ます。顔立ちについては「ママ似の可愛い女の子でよかった」「パパに顔が似てちょっとね・・・」と思ったとしてもそれ以上どうこういじることはできません。

でも、見えない内面も遺伝することもあります。例えば積極性が高い親の子どもが自己主張する傾向にあったり、引っ込み思案の親の子は引っ込み思案だったり、真面目な親から真面目な子どもが生まれたり、神経質な親から神経過敏な子どもが生まれたりするなどです。

ところが、自分が幼い頃、消極的でおとなしい子どもだったため、とてもしんどい思いをしていたとします。すると、「子どもにだけは苦労させたくない」と願い「もっと、どんどん自分の意見を言いなさい!」「お友達の輪の中に自分から入っていきなさい!」と背中をドーンと押してしまいたくなります。

でも、あなたの子どもなので同じようになることも多いのです。それを無理やり引っ張ると子どもは出来ないものを期待されてしんどいこともありますよ。

■相手のせいにするのも一つの考え方

反対に自分のいいところを受け継いでいないのは夫の遺伝子の影響が大なのかもしれません。残念に思うことがあったら「パパに似たのかな」とパパの遺伝子のせいにしてしまい、ママ自身の気持ちの整理をするのもいいかもしれませんね。

■遺伝か環境か

でも、遺伝だけですべてが決定するわけではありません。遺伝的に優れたものを持って生まれてきたとしても家庭環境や教育環境がそれを伸ばすものでなかった場合、芽が出ないこともあります。反対に素質がなくても環境や努力により身についていくものもあります。

さて、遺伝か環境のどちらの影響を受けるのかについては、昔からずっと論じられていることです。まったく同じ遺伝子を持った一卵性双生児の研究も盛んに行われています。結果、遺伝環境の両方の影響を受けて人として成長していくことがわかってきています。

つまり、遺伝を無視して、親が子どもに大きな期待をかけすぎてはいけない面もありますし、育った環境によりその後の人生が変わってくることもあるので諦めることもないということなのです。

■どうすればいいのか

なんでもDNAのせいにしてしまったら「どうせ生まれつきなのだから努力しても仕方がない」と投げやりになってしまいます。でも、その後の環境や努力で子どもは伸びていく可能性も大いにあるのですから・・・。

「私に似て消極的なところがあって嫌だわ」と自分の幼い頃の姿を見ているようで悲しく切なくなっても「似た者同士、同じだからこそわかることもあるのだわ」と思ってやりましょう。更に「本人も大勢の中にいるのはつらいだろうな。」と共感してやりましょう。

その上で「だから小さいうちから公園に行って色んな子どもと交わる機会を作ってあげよう」で良いのではないでしょうか。自分も経験しているからこそ分かる工夫です。それでこそ、子どもの個性を理解した子育てができますよ。

■まとめ

自分にないものを子どもに求めたり、自分と似ているから仕方がないと投げやりになることもなく、その子の特徴を理解した上で色んな芽を伸ばしてあげられるといいですね。

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