[学習全般]日本の英語教育「受験英語からコミュニケーション英語へ」

日本の英語教育「受験英語からコミュニケーション英語へ」

2016/07/07

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「英語を何年勉強しても話せるようにならない」ことは、日本の英語教育の問題点のひとつだといわれてきました。

従来のカリキュラムは、明治維新以来の伝統により、欧米の技術・分化を学ぶため翻訳力養成に重点を置いたものです。

しかし、もはや欧米に「追いつけ追い越せ」ではなく、日本を世界に売り込む時代です。今、日本人に必要なのはツールとしての英語です。 中学校の新学習指導要領(2012年から実施)では、すでに「話す」「聞く」「読む」「書く」の「4つの力」をバランスよく養成する授業がスタートしています。

目標はずばり、「使える英語」です。難解な長文を読み解く力よりも、英語でコミュニケーションをとり、会話やスピーチによって自分の考えを話せる力を育てようとしているのです。

今回の英語の路線変更が本気である証拠に、文部科学省は大学入試のためのセンター試験に、ある措置を試みようとしています。センター試験の英語はヒアリングもありますが、あくまでも「読む」ことを中心とした出題です。

しかし、大学入試が、コミュニケーション英語のための「4つの力」を正確に判定できるものでなければ、新しい英語教育の意味がありません。

では、いかに評価するのか、その対策として検討されているのが「4つの力」を測れる民間の英語力テスト、TOEFLやTEAPなどの活用です。

2018年から実施予定ですが、これは民間の英語力テストの成績で、基準以上の成績をもっていれば、センター試験の「英語」の点数に換算するというものです。このようなシステムであれば、高校生たちはコミュニケーション型の英語を一生懸命に学習することでしょう。

さらに、英語教育の変革はこれにとどまりません。2020年度を目処に進められている大学入試制度そのものの改革によって、受験としての英語は大きな変貌を遂げようとしているのです。

現在のセンター試験は廃止になり、かわりに「大学入学希望者学力評価テスト」(仮称)が登場します。「国語」「数学」など科目ごとの試験はなくなり、複数の教科にわたる複合的なテストになる予定です。これは「数学の知識を使って理科的な問題を解く」といった学力を総合的に測るものです。

ただし、英語は国が独自に評価テストを開発するか、または、ひきつづき民間の外部試験を導入することが検討されています。今回の入試改革では、各大学は一般試験の場合、明確な選考条件を定めて、事前に受験者を絞らなければなりません。

つまり、英語も基準となる成績を満たしていなければ、試験を受けることすらかなわないかもしれないのです。

今年はTOEFLやTEAPをはじめとして、中高生向けの英語力テストが次々と登場しました。これから先、どのテストを採用するかは発表を待ちたいところですが、関係各所では準備が着々と進んでいるようです。

ただ、注意が必要なのは、「では、早いうちから始めた方が有利ね」と小学性のうちから受験させても、その成績は無効になるかもしれないということです。

先に述べたセンター試験への点数換算では、受験前1~2年以内の成績のみ有効とするという方針が固まりつつあり、これがその後も一般的な基準になる可能性が高いからです。

英語教育の早期化のメリットは、子ども達が早いうちから海外に興味をもつきっかけになり、国際理解につながるという点にもあります。実は、現在のさまざまな改革は、財界からの「グローバル化に対応する人材の育成を」という要望に政府が応えたものです。

というと、日本人が海外で活躍する姿を思い描きますが、今、国内でも、グローバル化が急激に進み、多くの外国人が日本で就職を希望しています。そして、企業もこれに応えようと態勢を整えつつあります。

たとえば、1000人の新入社員のうち、500人が外国人という会社が出てくる事態も起こりうるのです。大多数の日本人が直面する問題は、おそらくこちらでしょう。