内閣府の「高齢者の経済生活に関する意識調査」では、60歳以上の高齢者が優先的にお金を使いたいもののトップは、「旅行」を抑えて「健康維持や医療介護のための支出」でした。
公的医療・介護保険以外に、こうした健康に関する資金をどう準備するかは個々人の考え方や生活環境で異なりますが、大きくは保険と貯蓄でどうバランスを取るかが焦点となります。
10年超の不健康な期間のリスク解消には、公的医療・介護保険だけでは不十分
厚生労働省によれば、健康で日常生活に支障のない期間である健康寿命の平均は男性70.4歳、女性73.6歳であり、平均寿命(男性79.6歳、女性86.4歳)との差である不健康な期間は男性で9.2年、女性で12.8年にもなります。
さらに、現在の年齢が高い人ほど平均余命も伸びるため、当然不健康な期間も長くなり、現在70歳の人であれば男性は15.1年、女性は19.6年にも達します。
こうした不健康な期間に、寝たきりや認知症のほか、日本人の死因の約6割を占めるガン、心疾患、脳血管疾患(脳卒中)に罹患する可能性が高まります。
この結果、70歳以上でかかる1人当たり医療費は、一生涯にかかる医療費の約半分にも及び、公的医療保険の自己負担額ベースでも平均500万円近くかかる計算です。
それでも治療費以外にQOL(生活の質)を維持するためにかかる費用を勘案すると、10年超の不健康な期間のリスク解消には、公的医療・介護保険だけでは不十分と言えるでしょう。