教育[725]

「子どもの書く字を上手にしたい!」文字が上手になる関わり方

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執筆者:立石 美津子

子どもが文字に興味を持ってくると、あれこれ指導したくなるのが親の常。

でも、そのやり方によってはせっかく芽生えた意欲の芽を摘んでしまうこともあります。

そこで今日は、どうしたら文字が上達するかについてお話ししたいと思います。

■たくさん練習させても文字は上達しない

野球だってゴルフだって何度も試合に出たり、頻繁にコースに出てもうまくならない人がいます。基本の型がしっかり身に付いていないからです。

野球選手は素振りに時間をかけます。プロゴルファーは何度も自分のフォームを動画に撮り、どこがぶれているのか分析します。

文字だって同じです。どんなにたくさん書かせても、正しい鉛筆の持ち方が出来ていなければ上達しないのです。

正しい鉛筆の持ち方は「こうやって持つと楽に書ける、整った文字になりますよ」の根拠があります。大人になって身に付いてしまったおかしな持ち方の癖はなかなか直りませんが、まだ生まれて数年、“書く経験”を長く積んでいない幼児は簡単に正しい持ち方をマスターすることができます。

文字は書く経験を積めば積むほど上達しますが、鉛筆やお箸の持ち方は間違った持ち方で書けば書くほど悪い癖が付いてしまいます。

そして一旦、付いてしまった型は一生物となってしまいます。

■直さない

子どもは頭の中で「ここは突き出ないように書こう」「ここは止めよう」「ここは跳ねよう」「ここは払おう」とわかっていても、まだ、手や指先の神経や筋肉が未発達ですので、上手に鉛筆を動かすことができません。

脳の指令が手先に連動する“共応性”が育っていないからです。折り紙だって洋服のボタンだって大人のように素早く出来ないのと同じです。

一生懸命書いた文字に対して「ここはもっと、こう書かないとダメなのよ。もう一度描き直しなさい」とやり直しをさせたり、赤いペンを持って間違った箇所を添削すると子どもはどう感じるでしょう?

思った通り手先を動かせない子どもは心の中で「わかってはいるけれどうまく書けないんだよ!」と叫んでいるかもしれません。

どんな字でも褒めてやりましょう。段々と書いているうちにうまくなっていきますよ。

■消しゴム

消しゴムを使うということは自分の書いた文字を直すという行為。これ自体嫌なものです。

また、消しゴムで消しても子どもの力では綺麗に消すことが出来ず、その上から書いても仕上がりが汚く見えてしまいます。消しゴムは基本、必要ありません。

■文字のフォント

文字には色んなフォントがあります。どれが正しくてどれが間違っているということはありません。

けれども“止め・跳ね・払い”が字体に反映されていないゴシック体のプリントや市販のドリルをやらせるのは避けましょう。

いわゆる筆文字が基本となった“教科書体”であれば払いの部分は先が細くなっているなど目で見てわかりますので、できるだけ筆文字に近いフォントの教材を与えるようにしましょうね。
 

子どもが文字に興味を持ち始めると親はつい欲が出てしまい「もっとたくさん書かせよう、上手に書かせよう」と思って手を出し口を出したくなりますが、却ってやる気を失わせてしまうことになりますので注意しましょうね。

【あわせて読みたい】

>>否定形では脳には伝わらない?肯定的な子どもへの声掛け

>>【鉛筆の持ち方の影響】正しく持つメリットと教え方・矯正のコツ

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