教育[725]

「甘えさせる」ことは心と脳を成長させる

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執筆者:門衛 教育運営チーム

子どもは、生まれてしばらくの間は「自分は何でもできる」という万能感のかたまり。つねにお母さんに守られ、困ることがないからです。

ところが、徐々に脳や体が発達し、歩行やおしゃべりが始まって外の世界と出合うと、何もかも初めてのことばかりで、不安でいっぱいになります。

「すごく怖い!でも、やっぱり外に出ていきたい・・」というのが1~6歳の子どもの心理状態です。特に1歳半ぐらいで「自分はお母さんとは違う人間なんだ」という自我が芽生えてからは、未知の体験がしたくなります。

当然、怖い思いもしますし失敗もします。他人と衝突することもあるでしょう。 そのとき、子どもに必要なのは、「いざというときはお母さんが守ってくれる」という安心感です。お母さんという、たっぷり甘えられる安全基地があってこそ、子どもはのびのび成長していけるのです。

甘えさせることで育つ5つの力

・自己肯定感~思春期まではたっぷり甘えさせましょう
へこたれない強い心を育むカギは、「自分は価値のある人間だ」という自己肯定感です。

これは親に十分甘えられ「愛されている」という実感が持ててこそ育まれるもの。男女ともに、思春期までは十分に甘えさせることが大事です。

特に幼児期の男の子は、女の子に比べて脳、主に左脳の発達が遅いため、環境ストレスに弱く病気にもなりやすいなど、とてもナイーブです。「男の子なのに、めそめそ泣いてばかりいないの!」と突き放すことなく、優しく包み込むようにしてください。

・挑戦する力~楽しい記憶が才能を伸ばしていきます
親に甘え、楽しくてワクワクした気持ちになると、大脳辺縁系の中にある扁桃体(好き、嫌いを感じる部分)から前頭前野(ワーキングメモリ)に情報伝達物質が送られ、海馬(記憶の貯蔵庫)から活性化し、「楽しい」という情報が蓄えられます。

それにより、楽しくてワクワクすることにはどんどん挑戦したくなり、才能が伸びていくのです。これぞまさに「好きこそものの上手なれ」。挑戦する力は、甘えさせることで身についていくとも言えるのです。

・コミュニケーション力~相手の立場に立って考えられるようになります
乳幼児期は「ひとつのことに注意を向けていると、他のことは見えなくなる」という特性があります。

例えば、お友だちのおもちゃを見て自分が遊びたいと思ったら、お友だちから取り上げてしまうので、ケンカになります。こうしたケンカも含む、さまざまな経験を通して、子どもは他者の存在に気づき、つきあい方を学んでいくのですが、甘えを十分に受け止めてもらった子は、他者と関わる力も育っていきます。

自分の気持ちを理解し応えてもらう経験を重ねていると、他者の気持ちにも敏感に気づき、相手の立場に立って考えられるようになるからです。

・語彙力~コミュニケーションに言葉は不可欠です
親子のふれあいを大切にして、一緒に遊んだり旅行に出かけたりと楽しい経験を共にする「共有型」の育て方をされた子どもは、あれもダメ、これもダメと厳しく強制されるなど親が一方的に指示をする「強制型」の育て方をされた子どもにくらべ、語彙力が高く、国語の成績が良いという研究データがあります。

コミュニケーション能力を育てるのに、語彙力は欠かせません。親子で一緒に楽しい時間を過ごし、たっぷりと甘えさせていれば、語彙力だけでなく、人と関わる力も自然と身につけることができます。

・自分で考える力~失敗しても大丈夫、と思えることが自主性を生みます
親の考えを押しつけたり、先回りしてあれこれ世話を焼くような関わり方をしていると、いつまでも親の顔色をうかがい、親の指示がなければ行動できない子になってしまいます。

一方、子どもの気持ちに寄り添い、子どもに合わせた柔軟なサポートをしていると、子どもは自分の頭で考え、判断して、行動するようになります。 たとえ失敗したとしても、お母さんがいるから大丈夫、という安心感があるので、子どもは主体性を持って自分の意思で行動できるようになるのです。

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