「子どもをどこまで叱っていいのかわからない」といった迷いを口にするお母さんが多いようです。これも「褒めて育てる」ことや「叱らない子育て」が推奨されるようになったことの影響といえます。
褒めることで自信をつけさせることも大切ですが、褒められるだけでは現実を生き抜く力は身につきません。最近、ちょっと叱られたり思い通りにならないことがあると、激しく反発したり、ひどく落ち込んだりして、学校や会社に適応できなくなる若者が増えています。
その問題の根っこは、子ども時代に適度に叱られる経験をしていないところにあるのかもしれません。 あなたは、あえて叱らないのか、それとも叱れない親になっているのか、一度よく考えてみましょう。
・子どもに嫌われたくない
誰だって愛する人から嫌われたくはありません。でも、わが子の将来のためを思うなら、あえて厳しいことを言って憎まれ役を担うのも親の役目。そうした自覚がないと、つい甘やかしてしまいがちです。
・かわいそうに思える
大好きなあなたに叱られれば、シュンとなり、落ち込むのは当然です。そんな姿を目にすると「かわいそう」という思いが先立ち、言葉を飲み込む場面が増えるかもしれません。近視眼的な同情が、叱りにくくさせる原因の1つです。
・感情のコントロールができない
子どもが思いどおりにならないとすぐカッとなり、感情むき出しに怒ってしまう。感情のコントロールが苦手なお母さんの場合、「やりすぎちゃった」という後悔があるため、叱ることを躊躇しやすくなります。
日頃から子どもとの触れ合いを十分にもつ うっかり叱ると子どもの心を傷つけるのではないかとか、子どもに嫌われるのではないかといった心配をするのは、あなたとお子さんとの間に愛情と信頼の絆ができているという自信がないからです。子どもの反応を気にして、腫れ物に触るような接し方をしていては、効果的な子育てはできません。
思い切りぶつかり合ってもいい
ケンカしたり、ぶつかり合うくらいのほうが、絆の形成は促進されます。絆があると思えば、ときに親子で激しい応酬があったとしても、今は反発しているけれど気持ちはきっと伝わるはず、と信じることができます。
子どもと深い絆をつくっていくためにも、日頃から親子の触れ合いを十分もっておくことが大切です。親子でじゃれ合ったりふざけたり、休日に一緒に遊びに出かけたりして、楽しい経験を共有する。そんな時間をできるだけ多くとるように心がけましょう。
行為と人格を切り離した叱り方を身につける
悪いことをしたら叱るのは当然のこと。それなのに躊躇してしまうのは、子どもの激しい反発が気になるからではないでしょうか。お子さんが反発するのは、もしかしたらあなたの叱り方が下手だからかもしれません。
叱るのが下手なお母さんは、つい感情的になりすぎて人格攻撃をしてしまいます。例えば「なんでそんな子になっちゃったの」「そんな子に育てた覚えはありません」「そんなことをする子、お母さんは嫌いだからね」といたセリフは人格を否定するメッセージであり、子どもの心に突き刺さります。
最後は信頼の言葉で結ぶ
子どもを叱るときに大事なのは、良くない行為と人格を切り離すことです。叱る際は、「~された○○ちゃんは悲しかったんじゃないかな」「こういうことはしちゃいけないね」と、なぜ叱られたのかを理解できるように説明しましょう。
そして「もうわかったから、こんなことしないよね」と、肯定的な信頼の言葉を伝えるようにしてください。