教育[725]

指をつかって計算する子【順序数と集合数の話】

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執筆者:馬場 猛寿
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中学生になっても、指をつかって計算する子がいます。
 
「8+5」であれば、「8・・・(ここから指を折りながら)9、10、11、12、13」というように、足す数の分だけ指を折って数えているのです。だから、計算するのにとても時間がかかっています。「計算メンドくさい!」と言うのも当然でしょう。
 
指をつかって計算するクセは、小1のときに習った「足し算・引き算」の教わり方に原因があることが多いようです。 
 
「数」には「順序数」と「集合数」という2つの概念があります。 
 
「前から3人目の人は立ってください」は、前から3番目にいる1人だけをさし、このときの「3」は「順序数」です。それに対して、「前から3人立ってください」の「3」が「集合数」です。つまり、「third」と「three」の違いです。
 
この2つの数の概念は両方とも小1で習います。だから「足し算・引き算」の計算の教え方も2通りあります。
 
ここまで書くとお気づきになる方も多いと思いますが、そうです、「指をつかって計算する子」は「順序数」で計算しているのです。

指を折りながら、8(番目)→9(番目)→10(番目)→・・・と本人は自覚していないのですが、これは明らかに「順序数」の概念で、小1(もしくは就学前の早期教育)でこの考え方が身にしみついてしまったのです。
 
「順序数」、「集合数」、どちらも大事な概念なのですが、「足し算・引き算」を教えるときは「集合数」で教えなければ計算のスピードは上がりません。
 
もしお子さんがいつまでも指で計算しているようでしたら次の方法で「集合数」の計算法に変えてあげてください。

赤いマグネットを用意して、以下のように並べます。
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 これでまず、数のイメージをつけてあげます。とくに6~9のイメージ(上の5つ+α)が大切です。
●●●●●  
●●●
5と3で「8」というイメージですね。これらをランダムにつくって「これはいくつ?」と問いかけて答えさせてください
 
つぎのステップは「10の補数」です。10個並べたマグネットの一部を手のひらでかくして、「あといくつで10になる?」と問いかけます。
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●●●□□←かくしたところ
小学校低学年くらいのお子さんであれば、「8のなかよしの数は何?」と問いかけた方が「数」に親しみを持つかもしれません。
 
この「数」のイメージと「10の補数」のイメージができたら、いよいよ計算です(次ページ)。

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