教育[725]

楽しみながら算数力をつけるボーリング学習法

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執筆者:立石 美津子

小学校一年生の子どもで幼児期に何かプリント学習をやっていたとか、幼児教室に通っていたわけでもないのに数にとても強い子がいます。実は遊びの中で体験していた子どもなのです。

そこで、今日は、『1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』の著者の立石美津子がボーリングで育てる算数力についてお話したいと思います。

■ボーリング

今更ですが・・・ ボーリングは10本のピンをボールで転がして倒し、10回続けてゲームをして累計点で競うものです。幼い子はなかなか街中のボーリング場で遊ぶことも難しいですし結構、費用も3000円~5000円くらいかかってしまいます。

でも、空のペットボトルを三角形に並べ、テニスボール(100円ショップで売っています)を投げるだけでも“家庭で出来る立派なボーリング遊び”になります。空のペットボトルが立てにくいようでしたら砂やおはじきを入れるとよいですよ。

■ボーリングが算数力を育てるわけ

ボーリングのピンは10本です。倒れた数を数えて多く倒した者が勝つわけですが、倒れた数をいちいちそばまで近寄って数えるのは面倒です。ですから、立っているピンの数を遠目から眺めて倒れた本数を逆算するように自然となりますよね。子どももそれをするようになります。

実はこれは、「3本立っているから7本倒れた」と自然と引き算をしていることになるのです。また、同時に1年生の算数の単元で一番大切な“10の合成分解”の学習をしていることにもなっています。

■10の合成分解

10の合成分解は「10は1と9」「10は2と8」の単元で小学校1年生の5月頃に習います。やがて、10月に“9+3”などの“繰り上がりの足し算”が出てきますが“合わせて10になる計算”つまり“10の合成分解”が出来ていない子はつまずくことになります。

その原理は次です。

(9+3の計算方法)
9に幾つ足したら10になるか

1だ  

3の中の1を借りてきて10にして
9+1+2=10

ここで「9に幾つ足したら10になるのか」が瞬時に出てこなければ、繰り上がりの計算は出来ません。小学校1年生の算数の最初の難関と言われています。

■数え足しする子

数え足しという計算方法があります。例えば“9+3”を計算するとき「9.10.11.12」と一つずつ足していく計算方法です。

5以内の足し算でまだ、足し算に慣れていないとき”4+3“を「4.5.6.7」と一時的にするのはよいのですが、いつまでもこれですと困ります。”9+9”の計算など数が多くなったときどこまで数えたかわからなくなってしまうからです。

また、13+19の計算まで数え足しするわけにはいきませんよね。ここでも“10の合成分解”が出来るかどうかが重要になってきます。

■幼児期は体験が大切

プリント上で“9+1=10・8+2=10・7+3=10”と計算問題を勉強させるよりも、幼児期は実物の数を使って経験させることが大切です。機械的に計算できても数を頭の中で操作できなければ答えは出てこないからです。

また、幼児は記憶力が高いので計算問題と答えをただ意味なく暗記してしまっていることもあります。実体験で数がわかった上で暗記するのはいいのですが、意味なく暗記していてもどこかでつまずくことになります。

■まとめ

算数は積み重ねの単元です。積み残すと雪だるまにわからなくなる教科です。“9+3”がわからないまま2年生になると”29+53”の二ケタの筆算でまたつまずきます。

遊びながら覚えてしまうと、苦労しなくて済みます。ボーリング遊びは算数力を育てるのにはとても最適なゲームですよ。

※この記事を書いた立石美津子さんの著書
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