貯蓄・投資[67]

【年金定期便の見方】「これまでの加入実績に応じた年金額」の説明

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執筆者:門衛 家計運営チーム

「これまでの加入実績に応じた年金額」の説明について

50歳未満の方へ送付される年金定期便には、「これまでの加入実績に応じた年金額」が記載されています。これは、年金定期便が送付された時点での国民年金と厚生年金の加入実績に応じた年金額の試算結果です。以下では、この「これまでの加入実績に応じた年金額」について説明してまいります。

「これまでの加入実績に応じた年金額」の試算における問題点

ところで、50歳未満の方の場合、年金の受け取りに必要となる300ヶ月の加入期間を満たしていない方も多くいらっしゃると思います。ですから、年金の加入期間が300ヶ月に満たない方の場合、年金の受取額は0円になりますから、本来であれば、将来受け取ることができる年金額の試算結果は0円になるはずです。

また、仮に、納付月数を300ヶ月に達するまで納付したと仮定して年金額を試算した場合、300ヶ月から年金定期便送付時点での加入月数を差し引いた月数の年金保険料の納付があったことを想定して試算を行わなくてはなりません。

そうすれば、年金定期便送付時点の加入実績に基づく年金額よりも、加入月数を多くカウントして年金額を計算することになりますので、試算された年金額がより多くなります。従って、年金定期便送付時点の加入実績に基づく年金額の正確な試算とはなりません。

年金額の正確な試算には合算対象期間の利用が不可欠

この問題を解決するには、合算対象期間を利用します。合算対象期間とは、 受給資格期間に含めることはできるが、老齢基礎年金の年金額の算定の基礎とはならない期間のことで、別名を「カラ期間」といいます。

この合算対象期間には、例えば、昭和61年4月1日以降の20歳未満又は60歳以上の厚生年金の被保険者期間であった期間や、配偶者が厚生年金の被保険者などであり、本人が20歳以上60歳未満で、昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの間のうち、国民年金に任意加入していなかった期間、などがあります。

年金定期便送付時点での加入実績に基づく年金額を試算する場合、年金定期便作成時点から60歳の誕生日が属する月の前月までの期間をすべて合算対象期間とします。また、60歳到達時までを合算対象期間としても、加入期間が300ヶ月を超えない方は、65歳に達するまで、300ヶ月を超えるように適宜に延長します。

合算対象期間は、300ヶ月以上の受給要件を見る場合にはカウントしますが、年金額には反映しません。ですから、合算対象期間を利用すれば、現在の加入実績に基づき、65歳から受け取ることのできる年金額を正確に計算することができます。

「これまでの加入実績に応じた年金額」の表示について

さて、このようにして、年金定期便作成時点で受給資格期間を満たしていない方の年金額を試算するという問題は、60歳まで又は65歳までの期間を合算対象期間とすることで、解決いたしました。

そして、年金定期便作成時点までの国民年金保険料の納付実績に応じて65歳から受け取ることのできる老齢基礎年金の額と、同じくこれまでの厚生年金保険料の納付実績に応じて65歳から受け取ることができる老齢厚生年金の金額が表示されています。

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