[社会保障]労災保険の対象者と保険料の支払いについて

労災保険の対象者と保険料の支払いについて

2015/02/23

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労災保険が適用される事業所について

労災保険は、労働者単位で適用されるものではなく、事業所単位で適用されます。すなわち、労災保険が適用される事業を行う事業所で労働者として働く者が、労災保険の適用対象となります。

この労災保険の適用の対象となる事業とは、原則として、労働者を1人でも使用する事業であります。ですから、若干の例外を除いて、一部の例外を除いたほとんどの事業が、労災保険の適用対象となります。

なお、一部の例外とは、国に直営事業と官公署の事業、暫定任意適用事業に属する事業であります。まず、国の直営事業と官公署の事業は国家公務員災害補償法と地方公務員災害補償法が適用されるため、労災保険は適用されません。

暫定任意的適用事業所について

暫定任意適用事業とは、常時5人未満の労働者を使用する個人経営の農業、常時労働者を使用せず、かつ、年間使用延労働者数が300人未満の林業、常時5人未満の労働者を使用する個人経営の事業であって総トン数5トン未満の漁船で操業する漁業、などが該当します。

この暫定任意適用事業とは、労働者の危険が少ないために、一時的に労災保険の適用に関して任意適用事業となっている事業であります。これらの暫定任意適用事業に該当する事業には、原則として労災保険は適用されません。

ただし、この暫定任意適用事業に属する事業者であっても、厚生労働大臣の認可を受けることにより、労災保険の適用事業所となることができます。そのために、任意適用事業と呼ばれています。

労災保険が適用される人

なお、労災保険の適用事業に該当する事業で働いている方は、原則として労災保険が適用されます。しかし、一部の方の場合には、労災保険適用対象事業所に勤められている方でも、労災保険が適用になりません。

労災保険は、適用事業所に使用される労働者であって、雇用形態の如何を問わず事業主との間に使用従属関係を有し、賃金を支払われる者とされています。ですから、法人の役員や理事など業務執行権を有する者には労災保険は適用されません。

また、生命保険の外交員、ガスの委託集金人、電力会社の委託検針員などで、事業主との使用従属関係が認められないもの、家事使用人にも労災保険は適用されません。これらのものは、労働者とはいえないからです。

一方、不法就労の外国人労働者や日雇労働者、パートやアルバイトであっても、労災保険の適用事業主において、事業主の指揮命令の下で働いていれば、名称に関わらず労災保険が適用されます。

労災保険料の金額について

なお、労災保険の保険料は100%事業主が支払います。労働者負担分がないので、健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料のように毎月の給料から天引きされることはありません。

事業主が支払うべき労災保険料は、保険年度(4月1日~翌年3月31日の期間)に事業主が労働者に支払った賃金総額に、厚生労働大臣が定める労災保険率表が各事業ごとに定める労災保険料率を乗じて計算します。

この労災保険料率は、最高の水力発電施設・ずい道等新設事業の89/1,000から最低の金融業・保険業・不動産業の2.5/1,000(H27年度適用分)のように、労災保険の対象となる適用事業ごとに定められています。

例えば、交通運輸事業を営む事業者がある平成26年度に支払った賃金総額が3,000万円だったとすれば、その平成26年度の労災保険料は、労災保険料率が5/1,000円ですから、15万円となります。

労災保険の支払方法について

なお、労災保険料の支払方法は、保険年度の途中に事業が成立した事業所の場合には、事業の成立から50日以内に、その他の場合には、毎年6月1日から40日以内に、1年分をまとめて労働基準監督署等に支払います。

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