[株式投資]ESG投資の課題とESG投資を用いた運用スタイルとは?

ESG投資の課題とESG投資を用いた運用スタイルとは?

2016/01/08

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今回は、「6.ESG投資の課題とは?」「7.ESG投資を用いた運用スタイルとは?」について見ていきます。 

6.ESG投資の課題とは?

続いて、ESG投資の課題について見ていきます。大きく3つに分けて整理します。 
 
①SRI(社会的責任)投資のネガティブなイメージを引きずっている点が挙げられます。例えば、SRI投資が道義的観点から一定の投資対象を除外することで投資ユニバースを狭め、運用パフォーマンスへマイナスの影響を及ぼしているという見方があります。
 
②ESG投資ユニバースの計測期間はまだ短く、ESG投資が長期的に良好なパフォーマンスをあげられるかどうかはわからない点が挙げられます。
 
③企業によるESG項目の情報開示が少なく、個別企業によって開示の仕方はバラバラであり、また、運用側においてもESG評価項目がバラバラで統一化できていない点が挙げられます。

ESG投資のそれぞれの課題に対しては以下の意見・見方もあります。
 

(課題1に対して)
SRI(社会的責任)投資のネガティブなイメージを引きずっている点。
 
ESG投資はポジティブスクリーニングもあり、また利益成長、企業価値向上と結びつく銘柄選定は可能である。つまり、Gは不祥事防止などの守りのガバナンスだけでなく、ROE、企業価値向上のための攻めのガバナンスも含まれているとの考え方があります。
 
(課題2に対して)
ESG投資ユニバースの計測期間はまだ短く、ESG投資が長期的に良好なパフォーマンスをあげられるかどうかはわからない点。
 
ESG投資は継続したパフォーマンス計測が必要であり、ESG銘柄自体のパフォーマンスの優劣とともに、ESG銘柄をどのような形でリバランスしていくかがポイントとなるとの見方があります。
 
(課題3に対して)
企業によるESG項目の情報開示が少なく、個別企業によって開示の仕方はバラバラであり、また、運用側においてもESG評価項目がバラバラで統一化できていない点。
 
ESG投資の資産拡大につれて、企業のESG情報の開示姿勢が徐々に改善されてくると予想されることに加え、投資・運用側でも経験を積むにつれESG評価項目の統一感も出てくるとの見方があります。

現に投資・運用側が主に利用しているESG・SRI専門調査会社やBloomberg、FTSE、MSCI、Quick、東洋経済新報社などの金融情報サービス会社ではESG情報のデータベースの構築や分析・評価の方法を蓄積・提供してきており、国内や国際比較が可能な体制に向け、少しずつ進展してきています。 

7.ESG投資を用いた運用スタイルとは?

最後にESG投資を用いた長期的に効果的な運用スタイルについて見ていきます。 
 
まず、従来の財務要因(EPSなど)を考慮し、ファンダメンタルズ分析を用いたバリュー、グローススタイルなどで選択した銘柄群にESG銘柄群を組み合わせて、ポートフォリオ全体として、リスクを低減させながら、パフォーマンスの向上を図っていくという方法が考えられます。
 
また、投資対象銘柄それぞれについて、財務要因を考慮したファンダメンタルズ分析項目、ESG項目をそれぞれ点数化し、点数ウェイトを決めた後、両方合計して点数の高い銘柄からポートフォリオに組み込み、もしくは売却していくという方法も考えられます。
 
ポートフォリオにおいてESG関連銘柄だけを投資対象とする場合には、以下の投資戦略も考えられます。
 
「ESGロング・ショート戦略」
①ESGリスクによりネガティブな影響を受けるような銘柄をショート(売り)する一方、サステナビリティの進展から恩恵を受ける銘柄をロング(買い)する。
 
「ESGモメンタム戦略」
②ESG要因が改善している企業に投資、もしくは買い増しする一方、ESGのパフォーマンスが悪化している企業を非保有、もしくはショートする。
 
「ESGバリュエーション戦略」
③ESG要因の優れている企業を投資対象にしながらも、PER、PBRなどファンダメンタルズ分析で用いられているバリュエーションを判断基準に売買する。
 
「ESGパッシブ投資戦略」
④MSCIなどが選定・算出しているESG関連指数への投資もしくはそれに連動する銘柄群へ投資する。
 
「ESG・行動ファイナンス・テクニカル融合戦略」
⑤ESG銘柄を長期の投資対象としながらも、モメンタムやバブルなど長期の相場変動の波による市場の非合理的な動きを考慮し、投資家心理・投資家行動をベースとした行動ファイナンス理論やテクニカル分析を用いてリバランスを行い、ポートフォリオのリスクを低減させながら長期的に高い収益の獲得を目指す。
 
などが挙げられます。
 
以上、長期的な個人の資産形成としてのESG投資について見てきました。

日本において、ESG投資への関心が今後、ますます高まっていくことが予想される中、今回のコラムで記載した

1.ESG投資とは?

2.ESGの歴史とは?

3.ESGの投資手法とは?

4.ESGのメリットとは?

5.ESGの機関投資家の取組みと我が国のESG関連銘柄について

6.ESG投資の課題とは?

7.ESG投資を用いた運用スタイルとは?

を参考に個人のより良い資産形成の一つの手段としてのESG投資の事前知識・情報の習得としてぜひ効果的にご活用ください。
 
*上記のコメントは筆者の個人的な見解であり、筆者が所属する会社または組織の見解ではございません。また個別銘柄の推奨、商品の投資勧誘を目的としたものではありませんのでご理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。

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