[株式投資]【その4】MBA流、ケースメソッドから学ぶ「ポジティブ投資学」

【その4】MBA流、ケースメソッドから学ぶ「ポジティブ投資学」

2014/03/26

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上昇トレンドの崩壊 ~依然先送り~

しかしマーケットに、突然、悲劇的な下げがやってきました。尋常でない下げです。A君の証券営業人生でこんな下げは初めてで、とても心配です。
 
TVのニュースでは、「株価、急落。今年、最大の下げ」と、株価ボードに下落一色の銘柄群と、うなだれ、心配そうな投資家の姿が映し出されています。
 
テクニカル分析が得意な先輩Cさんは「IT株の値動きの象徴であるアメリカのナスダック総合指数は、ダブルトップ(※二つの山(高値)とその間に一つの谷(安値)の形を示すチャートパターン)になって、テクニカル指標では天井サインが出ている。

大きな株価上昇の後、大陰線(始値より終値が大幅に安くなり、実体部分を黒く塗りつぶして表現したローソク足)が出現し、また、上昇相場で形成してきたトレンドライン(安値と安値を結んだ線)を割ってきている。ここからものすごい下げになるぞ。ああ、ITバブルがはじける。悲劇だ~。」

と発狂しながら、頭を抱えています。

テクニカル分析についてあまり知らないA君にとって、専門用語が多すぎて、先輩Cさんが何を言っているのかわからず、確認しようにも顧客の投資家からのパニックの電話が鳴りっぱなしで、聞いている暇はありません。
 
ファンダメンタルズ分析重視のB先輩は「ほんと、オオカミ少年はもう何を騒いでも、誰も信じてくれないのがわからないのかなぁ。やつは頭が混乱してて、危ないから近づかない方がいい。基本、あいつの言ってることと逆をやれば儲かるんだよ。こんな下げは上昇過程の一局面にすぎないんだよ。ファンダメンタルズから一時的に離れただけで、また収れん(もとの適正水準に戻る)すると思うよ」とA君に強気なトーンで話しかけます。
 
一方、穏やかな年配女性の先輩Dさんは

「あらあら株価が下がってきましたね。どうしましょうね」とやさしい口調で顧客に語りかけ、株価の下げにもかかわらず、共感と傾聴、やすらぎ、思いやりの姿勢を持って、顧客である投資家と関わり、良好な関係を続けています。
 
A君も「この下げは一時的かもしれないな。短期で急激に下がった分、また戻すかもしれないな」と思い、売り提案をまたしても躊躇してしまいました。
 
ここから大きく下がるかどうか自信がなかったことや、信用売りを行い大失敗した先輩Cさんの事例を見てきたことに加え、売り提案を行った後、株価が上昇して投資家からのお叱りを受けることやバカにされることが怖かったことで、不安になる投資家に安らぎの言葉をかけてしまいました。
 
「ファンダメンタルズ分析から見て、この下げは一時的ではないでしょうか。」と。
 
A君はなんとなく嫌な気分になってきました。現実を見ようとせず、人の意見になんとなく従い、人間関係の軋轢を生じたくないといった安易な方に流れてしまったからです。いったんそうした決断を下してしまったために株価に対して「下がらないでくれ」と願うような、しがみつくような思いをすることとなってしまいました。